早、三月。この季節は良い。きりりと梅の花が咲き、追い打ちをかけるようにあでやかな桜の花が咲く。「桜に桜の花が咲く。何の不思議はなけれど」。誰かがそうささやいたが、自然の営みとはすごいものだ。「きりり」から「あでやか」に。こんな美の競演に遭遇できる時代を生きていることは誠に幸せである。おまけにぽかぽか陽気が心を和ませる。

若い頃は冬が好きだった。ほっぺたを真っ赤にして冬将軍と相対した。手袋もつけず、白い息で、かじゅかんだ手を温めながら、数キロの道をてくてく登校していた。今思うと、そんな姿に一種の美学を感じる。文章で書くときれい事になるが、要は貧しかっただけのことかもしれない。それでも、目はまだ見ぬ遠い世界に向いていたように思う。そう・・・、将来にたいする希望やら夢みたいなものが胸中にあった。

最近の子供達は、どうだろう?。これでもかと言わんばかりに防寒着を身にまとい、幸せそうに登校している。時代が変わったのだ。世の中が豊かになれば、それはそれでいいわけだが、果たして、今の子らは、未来を見据えた夢やら希望を持っているんだろうか?。

多分、あるには違いない。ただ、いみじくも最近、高校生の「意識調査」なるものの結果が、日本青少年研究所から出された。日米中韓の4カ国の高校生にアンケート調査を行ったところ、ほとんどの項目で日本は最下位。その結果を僕なりに一言であらわせば。「シラケ」である。友人も少なく、勉強もしたくない。親子関係も希薄。希望も期待も見えない。これじゃああ、「何のために生きているの?」と言いたくなる。その答えがあった。文化的娯楽(漫画、テレビ、映画、遊び等)に一番興味を感じているようだ。要するに、食べていけ、おもしろ、おかしく、自由に人生を過ごせたらよいと言うわけだ。僕にとっても、それは理想なんだが・・・・・。

そんな日本人に、米中韓の人たちは、結構、好感をもっているというから不思議である。自由の国、日本は外国人の目に、退廃前の一瞬の輝きとして映っているのかもしれない。「安易に流される」という言葉がある。日本の経済的豊かさが、ひょっとすれば、安易に流された輝きを生み出しているのかもしれない。方向性を持った輝きならばいいのだが、今の日本に、その方向性が見えない。単なる堕落、退廃で終わってしまわないだろうか?。心配である。願わくば、荒川静香さんのように、真に輝く若人で、世の中が満ち満ちしてほしいと願わざるを得ない。冬から春へ季節が変わった。僕の心もすでにそうである。

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