4人の旧友達がやってきた。

金曜日の夕方、4人の男達が我が家へやってきた。うち、二人とはちょくちょく会っているのだが、後の二人は高校卒業以来の旧友。それぞれに恰幅が良くなり、一人は頭髪を真っ黒に染めていた。妙につやのあるそのヘアーに、ちょっくら違和感を覚えたが、本人が「よし」とするならいいか?。

わが家を来訪したのは、増築したばかりの部屋を見ることと、同級生の中で一番変わったのが僕らしく、僕の人となりとやらをを観察したかったのだろう。

よくよく話を聞いてみると、二人の旧友が、我が住む地に深い縁を持っていた。何かと言えば、一人は従兄弟が当地にいて、もう一人は奥方が我が家から5〜6分程度の位置に実家があるとのこと。これには僕も驚いてしまった。灯台もと暗しとはまさにしかり。

5人の男が一堂に会すれば、選択する道は二つ。我が家で腰を落ち着けて飲むか、さもなくば、裏さびれたネオン街へ繰り出すかである。僕の腹は決まっていた。もち、後者である。山の神に余計な負担をかけたくないことと、僕のおきまりのコースを紹介するのも悪くはないと思ったからである。

まずは和服姿の似合う、かってはフォークの女王と言われたママさんのいる小料理屋で腹ごしらえをすることにした。四畳半程度の小部屋に陣取り、ビールで乾杯し、BGMのフォークソングを聴きながら、だべりにだべりまくった。同級生との会話は屈託がなくて良い。言いたい放題だ。ママも旧友達から美人とおだれられ、嬉しくないはずがない。「これサービスよ」と、一品サービスがあるかな?と思ったが、多分そうだったに違いない。よく覚えていない。

腹ごしらえが出来たところで、僕はトイレに起ち、即、二次会への予約を入れた。おきまりのコースの第二弾。和服の店からしゃなりのママさんがいる店へと転じた。幸いVIPルームが空いていたので、そこへ陣取った。20代30代の乙女達が席を割って座った。わおーーーっつ、マンツーマン体制だ。皆が皆、黒いドレスで身をまとっていた。「お通夜でもないのに、なんで黒いドレスなんだ?」と一瞬、いぶかしく思ったが、まあ、これが高級店の正装かと思えば、それで良いわけだ。完璧とは言えない音響装置のもと、皆、カラオケに興じた。と言っても、誰も聞いちゃいない。おまけのように、ぱらぱらと拍手が。だべりの方が先行していた。仕方がないといえば仕方がない。

しばらくして、見覚えのある女性が応援でやってきた。すらりと背が高く、奈良か平安時代の貴族の娘を彷彿とさせるような顔立ち。のっぺらーとした美人。昼間の仕事は接着剤を研究する会社に務めているとのこと。僕はすかさず、ニックネームをつけてやった。「平安まろボンド」と。何のこっちゃ。大笑いしながら、商標登録したらどう?とけしかけた。

折もよし、しゃなりのママが、おごそかに登場。いやああ、いつ見ても美しい。僕は緊張した面持ちで、友人等を紹介した。ママはものに動じない落ち着いた様子で、丁寧に挨拶に応えていた。いやああ、僕の酔いもそろそろ佳境に近づいている由。峠はまだ越えていない。もう一件、立ち寄ることにした。今度はスナック。ここのママさんは異業種交流会のメンバーになっており、僕も良く知っている人である。ソファーの一角に腰を下ろし、当たりを見回すと、生まれてほどない赤ん坊をソファーの端っこで寝かしつけ、酒を飲んでいる一人の女性がいた。僕たちを見るなり、ずけずけとやってきた、「あら○○さんね」と、僕の名字を告げた。「僕の名字を何で知っているんだ?」と、一瞬困惑したが、思い当たる節があった。以前、この店で彼女に会ったことがある。その時は、彼女の娘が大学に合格したとのことで、娘とその友達と三人でこの店へ来ていた。確か、その時も赤ん坊をを連れていたような。僕は所望されて名刺をやった記憶がある。「不謹慎な女性だ」と感じた記憶がある。もち、僕は相手の名前も名字も知らない。

彼女は、その時、「○○さんは私の娘達を誘惑したのよ」と、旧友達の前で告げた。「と、と、とんでもない。人聞きの悪い」。声をかけて僕を呼んだのは、そっちじゃなかったっけ?。僕は大学合格のお祝いを述べて、ひとしきり説教したようなしなかったような・・・。覚えていない。いずれにしても、不謹慎な女性である。いかなる事情があるにせよ、赤ん坊をこんな場所へ連れてきて、寝かせるなんて、どうかしている。早々に退散することにした。ここで、止め説けば良かったのだが、峠を越した僕の脳裏には、もう一件の行き先があった。旧友達は皆、すこぶる元気。行かなくちゃ・・・行かなくちゃ」。井上陽水さんの歌を口ずさみながら、とある扉をたたいた。

もうミッドナイトを過ぎていた。この店は大学の後輩達がアルバイトをしている。後輩と言っても、おじんと娘というくらいの歳の差がある。歳の差はあれど、後輩は後輩だ。ここの店のアルバイト女性は皆、美術を専攻している。今日のバイト生は、彫塑とのこと。旧友の一人が絵描きなので、何か縁でもあればと思い、立ち寄ったわけである。ここのママさんにもニックネームをつけてやった。ママさんは外国に住む牧歌的な優しい女性を連想させた。かくして、「フランダースの犬を連れたご婦人」と言うことに決定。時々、フランダースのママと呼んだりする。ママも痛くこのニックネームが気に入っているらしく、自らもそう呼んでいるようだ。

「もう限界だーーーーーー」と言うことで、代行車を呼んで帰参することに。とっくに午前2時を過ぎていた。長くなってしまった、続はあとで書こう。

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