昔のドキドキをもう一度。
2006年8月16日 日常お盆が終わった。人はそれぞれに色んな思いを抱いて、この刹那の休暇を過ごしたに違いない。僕は相変わらずの仕事に明け暮れた。ここ数十年、盆に里帰りしたことがない。運命と言えば運命だ。帰れない理由がある。ま、それはいいとして、遠くから、先祖さん、じいさん、ばあさん、叔母、父の事を思った。
盆の行事で良く覚えていることがある。小さな海沿いの田舎町(僕の故郷)で行われていた灯籠流しのことである。地方によっては色んな言い方があると思うが、僕たちは灯籠流しとか、マントウ流しとか言っていた。マントウと言えば、スーパーマンが身につけているマントを連想するが、そういう意味ではない。多分、万の灯籠を流すから、略してマントウと言ったのか、さもなくば四角い板切れに四本の柱(割り箸みたいなもの)を立てて、中心にろうそくを立てる。四本の柱の周りを色紙で囲む。囲むからマントに似ている。そこからマントウ流しと言ったのかもしれない。これはこじつけか?。定かではない。
時至って、ろうそくに明かりを灯して、海に流す。満潮から引き潮に変わる頃に流す。幾多の鮮やかな灯籠がゆらゆらと波に揺れながら沖へ流されていく。その様は実に幻想的できれいだった。母が言ったものだ。「ご先祖様の魂が帰っていくのよ」とかなんとか?。「へーーー、ご先祖様は墓に帰っていくんじゃないの?」と、ちょっくら、いぶかしく思ったものだ。
また、時を同じくして花火大会が催された。田舎での花火大会と言えば、数千発の打ち上げ花火と、ちょっとした仕掛け花火があった。親戚のお姉さん達と浴衣姿に団扇を持ち、そそくさと出かけたものだ。背の低いお姉さんが、仕掛け花火が見えないと、僕の肩に手をかけ、背伸びしながら見ていた。僕の心は仕掛け花火どころではなかった。お姉さんのカモシカのような指、おっと違ったか、白魚のような指と、ほのかな香りで僕の胸はズキンズキンとうずいた。思春期の僕にとっては大いなるハプニングだったわけだ。子供心に思った。「頼られるってなんと心地よいものか」と。あわよくば、翌年もと期待したが、さすがに、柳の下にどじょうは居なかった。現実とはそういうものなんだ。昨今の盆の風景がいかなるものか良くはわからない。ただ、昔は時が緩やかに流れ、貧しかったが幸せな一時だったような気がする。
おっと、盆に里帰りできなかった男の感傷につきあっている暇はない。夢は夢。思い出は思い出だ。心臓にすっかり毛が生えた今の僕がそう叫んでいる。なにはともあれ明日があるさ。ジョージアで。古いジョークしか言えない僕も落ち目の三度笠だ。
とりあえず、今日の一言を残しておこう。
「あの時の、ほのかな香りとドキドキをもう一度」
盆の行事で良く覚えていることがある。小さな海沿いの田舎町(僕の故郷)で行われていた灯籠流しのことである。地方によっては色んな言い方があると思うが、僕たちは灯籠流しとか、マントウ流しとか言っていた。マントウと言えば、スーパーマンが身につけているマントを連想するが、そういう意味ではない。多分、万の灯籠を流すから、略してマントウと言ったのか、さもなくば四角い板切れに四本の柱(割り箸みたいなもの)を立てて、中心にろうそくを立てる。四本の柱の周りを色紙で囲む。囲むからマントに似ている。そこからマントウ流しと言ったのかもしれない。これはこじつけか?。定かではない。
時至って、ろうそくに明かりを灯して、海に流す。満潮から引き潮に変わる頃に流す。幾多の鮮やかな灯籠がゆらゆらと波に揺れながら沖へ流されていく。その様は実に幻想的できれいだった。母が言ったものだ。「ご先祖様の魂が帰っていくのよ」とかなんとか?。「へーーー、ご先祖様は墓に帰っていくんじゃないの?」と、ちょっくら、いぶかしく思ったものだ。
また、時を同じくして花火大会が催された。田舎での花火大会と言えば、数千発の打ち上げ花火と、ちょっとした仕掛け花火があった。親戚のお姉さん達と浴衣姿に団扇を持ち、そそくさと出かけたものだ。背の低いお姉さんが、仕掛け花火が見えないと、僕の肩に手をかけ、背伸びしながら見ていた。僕の心は仕掛け花火どころではなかった。お姉さんのカモシカのような指、おっと違ったか、白魚のような指と、ほのかな香りで僕の胸はズキンズキンとうずいた。思春期の僕にとっては大いなるハプニングだったわけだ。子供心に思った。「頼られるってなんと心地よいものか」と。あわよくば、翌年もと期待したが、さすがに、柳の下にどじょうは居なかった。現実とはそういうものなんだ。昨今の盆の風景がいかなるものか良くはわからない。ただ、昔は時が緩やかに流れ、貧しかったが幸せな一時だったような気がする。
おっと、盆に里帰りできなかった男の感傷につきあっている暇はない。夢は夢。思い出は思い出だ。心臓にすっかり毛が生えた今の僕がそう叫んでいる。なにはともあれ明日があるさ。ジョージアで。古いジョークしか言えない僕も落ち目の三度笠だ。
とりあえず、今日の一言を残しておこう。
「あの時の、ほのかな香りとドキドキをもう一度」
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