やっと、今日の仕事が終わりだ。外は秋晴れ。実にすがすがしい。近くの小学校では、運動会があっている。最近は小学生が少ないから、地域の住民体育祭と合同だとか。これもまたいい。あいにく僕は仕事で、子供もいない。従って、運動会を見に行ったことはほとんどなし。時折、マイクでおらぶ声が聞こえる。プログラムの紹介や、集合の合図や、頑張れのエコーである。合同体育祭となると確かににぎやかだ。こういう時ばかりは近隣から苦情もでないから幸いだ。校門の前には露店が立ち並んでいる。たこ焼きとか、綿菓子とか水飴などが飛ぶように売れる。過ぎ去りし子供の頃を思い出す。

ふっと、テレビを見やった。山下清さんが歩いた地を芸能人が旅していた。その地で夜、花火大会が催されるという。何十万人という人が集まるそうな。早々とシートを準備して合図の時間と共に場所の争奪戦が始まる。いやあーーー、日本的風景だ。一面シートの海。有料となっている桟敷席は、まばらだ。やがて埋め尽くされてしまう。夜空に咲いた大輪の花火と、それを見上げている人々の姿を山下清さんは見事にキャンパスに描いていた。清さんは日本の伝統的な美がことさら好きだったに違いない。

僕はここ数年、直に花火を見たことがない。テレビで見るだけだ。それでも、美しかった。「ヒュー」という音と共に、暗闇の中に色とりどり、大輪の花が咲く。咲き終わった後は、しだれ柳のように尾を引いて消えていく。なんとも、幻想的で鮮やかな一瞬。安倍総裁が唱える「美しい日本」という言葉を思い出した。まさに、こういう伝統的な美は日本の象徴である。いつまでも、続いて欲しいものだ。

やっと、周囲が靜になった。午後五時を過ぎる頃になると、もう夕闇が迫ってくる。夏至から秋分の日を経て、どんどん夕暮れが早くなる。かくして短い秋が佳境を迎え、冬へと季節は移ろぐ。

つつがなく過ぎた今日に感謝し、この備忘録を閉じよう。

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