ボスの旅立ち。

2007年9月7日 日常
 今朝方、ボスが亡くなった。朝5時過ぎのことらしい。僕が一番最初に思ったこと。「いやあーーーよく頑張りましたね。お疲れ様でした。ゆっくりお休みください」という言葉である。

昨日の朝、医者から引導を渡され、丸一日頑張ったことになる。さすがはボスである。そう簡単にはくたばらなかった。予科練で訓練を受けた頑強な体が物を言ったのだろう。生前、よく飲み屋で聞かされた。「そりゃーもう、棒みたいなやつで、こっぴどく尻や、背中をたたかれ、今でも傷が残っているよ」と。当時のことを感慨深げに話していた姿がなつかしく思い出される。

僕もよく言っていた。「ボスよ、今のうちに、ボスの歴史というか、生き様を記録に残しておいたがいいんじゃないですか?」と。ボスは一瞬笑ったが何も言わなかった。実際、手記を残したかたどうかは知らない。多々、何も残していないだろう。まあ、これは仕方がない。僕がこうして、思い出をつづることが、ある意味ではボスの生き様と言うことになる。

葬儀社との打ち合わせに僕も同席して欲しい旨の要請を受けた。「ボスの為に出来ることは何でもしてあげたい」と思っていたので、快く引き受けた。信仰に厚く、社会的にも立派であったボスには、「院号」の戒名が相応しいのではと奥方に進言した。僧侶にその旨、伝えた。

段取りも、そつなく決まった。後は今日の通夜と、翌日、葬儀を行うことになる。葬儀社との打ち合わせの中で、ふと思ったが、「死んだ後にも、結構、金がかかるもんだなー」と言うことである。「地獄の沙汰も金次第」という諺もあるが、なんとも、いたたまれないことだ。すかっとさわやかに、「ろは」、0円というわけにはいかないのか?。

僕なら、人知れず、こっそりと亡くなり、速やかに宇宙空間へ旅立っていきたいと思うが、世の中のしがらみはそれを許してくれないだろう。ボスの場合もしかりである。ただ、親しかった色んな人に見送られてあの世とやらに旅立つのも悪くはないかもしれない。

ボスの最後の言葉を奥方に聞いた。「忍(しのぶ)ーーー、」と、二回ばかり奥方の名前を叫んだとのこと。奥方はその言葉におおいに涙した。その一言、二言の言葉が、どれほど、奥方の心を癒やしたことだろう。

ふと、「僕は死ぬ直前に何と叫ぶだろうか?」と考えてみた。幸い、山の神の名前と初恋の人の名前が同じであるから、僕の場合は何の誤解も生じないだろう。というより、叫ぶ前に息絶えているかもしれない。そう考えると、ボスは幸せだ。少なくとも、奥方に感謝の言葉を残して逝ったわけだから。

今日はもう、これ以上書くまい。ボスの旅立ちに乾杯。僕は焼酎をあおりながら、ボスが歌った歌を口ずさむことにしよう。

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