人恋しい秋。

2007年11月4日 日常
 秋になると色んな人を思い出す。まさに人恋しい秋である。今、一番脳裏に思い浮かぶのは、やはりボス(父みたいな存在で、仕事上の大先輩)のこと。既に四十九日が過ぎた。今頃ボスは西方浄土に安住し、大酒を食らっているかもしれない。娑婆世界にいるときは、そう思えるほど酒席を共にした。

ボスは車に乗らないから、僕の運転でクライアントの所へ赴く。そこで一仕事終え、帰りは行きつけの小料理屋で一杯やることが日課みたいなものだった。しばらくだべりながら焼酎をあおる。頃もよし。ボスの手がカラオケ台帳に伸びる。台帳をめくりながら、口癖のようにママに尋ねる。「新曲、はいっているかなあーーー?」である。覚えたて演歌の新曲をおらぶのが、めっぽう好きだったボス。「歌う天国、聞く地獄」とはこのことだ。僕やママは笑いながら手拍子をたたいたものだ。「はい、次はあんたの番」と言って、カラオケ台帳を僕に差し出すが、「僕はまだ心の準備が出来ていない」と辞退するや、すかさず、ボスの次の歌が始まる。

ボスは、僕がフォークソングが好きだと知ってか知らずか、時々、フォーク調の曲も歌う。圧巻だったのは、黒沢年男さんの「やすらぎ」という歌をボスがおらんだ時だ。何度も日記に書いたが、その歌で94点という高得点をたたき出した。これには僕も目を白黒。さもありなん。じゃがれ声ながら、情感たっぷりで、音程を外さなかった。「まいったぜ。僕はますます歌いにくくなったぜ」と思ったことだ。こんな調子で、いわずもがな、帰りも午前様だ。最後に歌う曲も「午前様」。ここらあたりが男の粋というものだろう。

とは言え、時折、角を生やした雌牛の姿が浮かぶ。ボスも同様だったに違いない。多分に漏れず、ボスも僕と同様、同じ穴のむじなってところか?。思い出は多々あり、語りきれない。今はただ、ボスの安らかなる安眠と、残された奥方の健康を願うのみだ。

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