僕たちは狭い通路をぬって、我が席を見つけた。ジャイアン(僕)とのび太君(友人である弟)は隣の席。後の二人はばらばらの席だ。僕たちの席は右側の三人掛け。僕は通路側。弟は真ん中だった。窓際には外人さんが座っていた。腰掛けるやいなや僕と弟は顔を見合わせて、にんまりと意味不明の笑みをこぼした。この笑みは何だったのか?。思うに、この窮屈な席への不満と、異境の地へ飛び立つ不安と期待が微妙に絡み合っての笑みだったのかもしれない。
機内を見渡した。ほぼ満席の状態。意味不明の言語が飛び交っている。僕たちは、なすすべもなく狸寝入りを決め込んだ。後の二人はどう過ごしているのか席からは見えない。夢うつつの中で本寝入りになりそうな時、肩をポンポンとたたかれた。目を開けると、フライト・アテンダントのお姉様が、ピンセントで挟んだおしぼりを差し出した。「へーーーー、手渡しではなかったのか?」と、一瞬びっくりして受け取った。幾分か汚れていた手を拭き清めた。
しばらくすると、あの有名な「子連れなんとかだったっけ?」、大五郎を乗せたような荷車をカタコト、カタコトと押しながら、フライトアテンダントの女性達が弁当を配り始めた。僕たちの通路の担当女性は、腰の廻りが通路の幅と同じくらい大きなミドルエイジのおばさまだった。席の前へ来るやいなや、「ミート・オア・チキン?」と聞いてきた。僕はすかさずチキン・プリーズと応えたが、弟はミートにしたかったが、おばさまの声の勢いに恐怖感を覚えたのか、慌ててチキンと応えてしまったらしい。大笑いしたことだ。
そう言えば何かのコマーシャルであった場面を思い出した。「ミート・オア・フィッシュ?」と聞かれた青年が「フィッシュ」と応えると、怖い顔をしたおばさまから「チキンオンリー」と言われて、困憊している様子。まさにその場面とそっくりだった。
そう腹も空いていなかったが、先はまだ長いということで、お子様用テーブルみたいなものを倒して、慣れないフォークやスプーンで、おそるおそる口に運んだ。床に獲物を落とさなかっただけでも幸いだ。味は可もなく不可もなしって所か?。
食事が終わればまた眠くなるのが必定。再び僕は浅い眠りに就いた。弟もほっとして眠っている様子。機内では写りの良くないスクリーンで映画を見ている者もいた。何時が過ぎたのだろう?。ふっと、時計に目をやった。「まだこんな時間しか経っていないのか?」と、意気消沈。「苦もまた楽なり」という言葉があるが、とてもそんな気分ではない。長く椅子に座っていると腰と尻が痛くなるのだ。短い足を交互に重ねども、一時しのぎに過ぎない。我慢、我慢だ。「美しい空と大地が待っている」。そう、いい聞かせた。
生理現象は時を待たない。搭乗前にビールを飲んでいたため、尿意を催した。機内後方のレストルームへと赴いた。数人の外国人が立っていた。「順番待ちかな?」と思ったが、そうではなかった。尻が痛いので立っていたのだろう。
扉を押してルームに入ると洋式トイレが僕を待っていた。最近、男性も座って用を足す人が多いと聞いたが、大和撫子?じゃあない。大和男子たるもの、坐って用を足せるか?と変に気負って、立って用を足した。要は、飛び散らさなければいいわけだ。機の揺れに合わせて、僕も体を揺すりながら、小さな一物を慎重につまんで、散らすことなく見事に成功。ほっとする瞬間だ。水を流すべくペダルを踏むと、バキュームカーが高い音を出して物を吸い込むがごとく、奇妙な音を出して、「どどどーーっつ」と、僕の尿が消えた。僕の尿はいずこに?。大気のもずくとなったのだろうか?。
変な事に気を回しながら席へ戻った。まだまだ先は長い。僕は再び眠りに落ちた。
機内を見渡した。ほぼ満席の状態。意味不明の言語が飛び交っている。僕たちは、なすすべもなく狸寝入りを決め込んだ。後の二人はどう過ごしているのか席からは見えない。夢うつつの中で本寝入りになりそうな時、肩をポンポンとたたかれた。目を開けると、フライト・アテンダントのお姉様が、ピンセントで挟んだおしぼりを差し出した。「へーーーー、手渡しではなかったのか?」と、一瞬びっくりして受け取った。幾分か汚れていた手を拭き清めた。
しばらくすると、あの有名な「子連れなんとかだったっけ?」、大五郎を乗せたような荷車をカタコト、カタコトと押しながら、フライトアテンダントの女性達が弁当を配り始めた。僕たちの通路の担当女性は、腰の廻りが通路の幅と同じくらい大きなミドルエイジのおばさまだった。席の前へ来るやいなや、「ミート・オア・チキン?」と聞いてきた。僕はすかさずチキン・プリーズと応えたが、弟はミートにしたかったが、おばさまの声の勢いに恐怖感を覚えたのか、慌ててチキンと応えてしまったらしい。大笑いしたことだ。
そう言えば何かのコマーシャルであった場面を思い出した。「ミート・オア・フィッシュ?」と聞かれた青年が「フィッシュ」と応えると、怖い顔をしたおばさまから「チキンオンリー」と言われて、困憊している様子。まさにその場面とそっくりだった。
そう腹も空いていなかったが、先はまだ長いということで、お子様用テーブルみたいなものを倒して、慣れないフォークやスプーンで、おそるおそる口に運んだ。床に獲物を落とさなかっただけでも幸いだ。味は可もなく不可もなしって所か?。
食事が終わればまた眠くなるのが必定。再び僕は浅い眠りに就いた。弟もほっとして眠っている様子。機内では写りの良くないスクリーンで映画を見ている者もいた。何時が過ぎたのだろう?。ふっと、時計に目をやった。「まだこんな時間しか経っていないのか?」と、意気消沈。「苦もまた楽なり」という言葉があるが、とてもそんな気分ではない。長く椅子に座っていると腰と尻が痛くなるのだ。短い足を交互に重ねども、一時しのぎに過ぎない。我慢、我慢だ。「美しい空と大地が待っている」。そう、いい聞かせた。
生理現象は時を待たない。搭乗前にビールを飲んでいたため、尿意を催した。機内後方のレストルームへと赴いた。数人の外国人が立っていた。「順番待ちかな?」と思ったが、そうではなかった。尻が痛いので立っていたのだろう。
扉を押してルームに入ると洋式トイレが僕を待っていた。最近、男性も座って用を足す人が多いと聞いたが、大和撫子?じゃあない。大和男子たるもの、坐って用を足せるか?と変に気負って、立って用を足した。要は、飛び散らさなければいいわけだ。機の揺れに合わせて、僕も体を揺すりながら、小さな一物を慎重につまんで、散らすことなく見事に成功。ほっとする瞬間だ。水を流すべくペダルを踏むと、バキュームカーが高い音を出して物を吸い込むがごとく、奇妙な音を出して、「どどどーーっつ」と、僕の尿が消えた。僕の尿はいずこに?。大気のもずくとなったのだろうか?。
変な事に気を回しながら席へ戻った。まだまだ先は長い。僕は再び眠りに落ちた。
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