僕たちは再び電車に揺られて目的地へ向かった。電車は猛スピードで走り抜けていく。おんぼろながらすごい馬力だ。新幹線並と言って良い。30〜40年年前に開通したコンピューター制御の無人電車らしい。さすがは文明大国だ。
僕は心なしか恐怖を覚えた。脱線でもしたらまず、命の保証はないだろう。
皆、黙りこくり、感慨にふけっている様子。僕もふと、故郷を思った。「故郷は遠きにありて思うもの。そして悲しくうたうもの」。啄木の詩を思い出した。やはり、遠くへ行かないと故郷の味はわからないものだ。元気なのは僕の弟(仕事仲間の友人)ばかりだ。例によって、いかにも高級そうな一眼レフのカメラで、電車の壁に掲げてあるマップをカメラに収めていた。実際、このマップが、後々、役に立つとは、そのときは夢にも思わじである。
風景をぼんやりと眺めながら40分ばかり経った。スネ夫君が「おおっつ、ここだここだ」といきなり席を立つ。僕たちも置いてきぼりを食わないように、慌てて荷物を持ち、電車を降りた。スネ夫君はあたかも、我が町1へ来たかのごとく、すいすいと僕たちを先導していく。さすがは計画の緻密さには定評のあるスネ夫君だ。紅葉したカエデの街路樹がきれいだった。これでもかと言わんばかりに大きな葉っぱが、歩道を埋め尽くしていた。「こりゃあ掃除が大変ばい」と、久々にドラえもん君が口を開いた。「ドラちゃんなら、お腹から魔法の吸塵機械でも出したらどう?」と、言おうかと思ったが、今はそう言う状況でもない。皆、少々、くたばりかけていた。
15分ばかり歩いただろうか?。ある一角から塀が木造に変わった。塀の中には大小の木立が生い茂り、枯れ葉のジュータンが敷かれていた。その奧に木造の建物がたたずんでいる。スネ夫君が「着いたばい」と笑顔で言った。我々は「ここかあーーー」と、静寂そのものの家屋に目を馳せた。でっかい二匹のセントバーナード犬の出迎えを受けた。人慣れしているようで、しっぽをふりふり、僕たちを歓迎してくれた。時は既に夕方を回っていた。日没も間近だ。
奥方が僕たちを待っていた。スネ夫君の先輩にあたる家主はフランスへ飛んでいて、あいにく留守とのこと。奥方へ挨拶を済ませると、坐禅堂へ案内してくれた。そこには既に夜具の支度がしてあった。「「寒いけど大丈夫かしら?」と奥方が言う。すかさず、ドラえもん君が「大丈夫です。皆、田舎もんですから」という。僕たちも併せて、「はい。はい」と応えた。「よーーく考えてみると、田舎もんて寒さに強いのかなあ・・・・」と思ったが、まあいいか。
ここで、奥方の紹介をしておこう。どこで、ここの方丈(住職さんの事をそう言う。家主さんのこと)さんと知り合ったのか不明だが、小柄で上品な顔立ちの女性である。昔、ダンサーをしていた(今もそうかもしれない)とのことで、めっぽうジャズ好き。当地に数店舗の多目的ジャズホールを経営している。当地のみならず、全米に名の通った店らしい。はからずも、僕たちが着いた日は、新たな店舗の開店の数日前。ラッキーだった。忙しい中、僕たちのために、色んな準備をしてくれていた。後で書くことになるが、開店の前夜祭に招待され、ワインを片手に、本場のジャズを堪能することになる。
それぞれに、ねぐらを定め、「さあーーー夕食でもくいに、近くまで繰り出すか」と言うことになった。ねぐらも決まり、明日からの当地探索に、我々の心は躍った。
僕は心なしか恐怖を覚えた。脱線でもしたらまず、命の保証はないだろう。
皆、黙りこくり、感慨にふけっている様子。僕もふと、故郷を思った。「故郷は遠きにありて思うもの。そして悲しくうたうもの」。啄木の詩を思い出した。やはり、遠くへ行かないと故郷の味はわからないものだ。元気なのは僕の弟(仕事仲間の友人)ばかりだ。例によって、いかにも高級そうな一眼レフのカメラで、電車の壁に掲げてあるマップをカメラに収めていた。実際、このマップが、後々、役に立つとは、そのときは夢にも思わじである。
風景をぼんやりと眺めながら40分ばかり経った。スネ夫君が「おおっつ、ここだここだ」といきなり席を立つ。僕たちも置いてきぼりを食わないように、慌てて荷物を持ち、電車を降りた。スネ夫君はあたかも、我が町1へ来たかのごとく、すいすいと僕たちを先導していく。さすがは計画の緻密さには定評のあるスネ夫君だ。紅葉したカエデの街路樹がきれいだった。これでもかと言わんばかりに大きな葉っぱが、歩道を埋め尽くしていた。「こりゃあ掃除が大変ばい」と、久々にドラえもん君が口を開いた。「ドラちゃんなら、お腹から魔法の吸塵機械でも出したらどう?」と、言おうかと思ったが、今はそう言う状況でもない。皆、少々、くたばりかけていた。
15分ばかり歩いただろうか?。ある一角から塀が木造に変わった。塀の中には大小の木立が生い茂り、枯れ葉のジュータンが敷かれていた。その奧に木造の建物がたたずんでいる。スネ夫君が「着いたばい」と笑顔で言った。我々は「ここかあーーー」と、静寂そのものの家屋に目を馳せた。でっかい二匹のセントバーナード犬の出迎えを受けた。人慣れしているようで、しっぽをふりふり、僕たちを歓迎してくれた。時は既に夕方を回っていた。日没も間近だ。
奥方が僕たちを待っていた。スネ夫君の先輩にあたる家主はフランスへ飛んでいて、あいにく留守とのこと。奥方へ挨拶を済ませると、坐禅堂へ案内してくれた。そこには既に夜具の支度がしてあった。「「寒いけど大丈夫かしら?」と奥方が言う。すかさず、ドラえもん君が「大丈夫です。皆、田舎もんですから」という。僕たちも併せて、「はい。はい」と応えた。「よーーく考えてみると、田舎もんて寒さに強いのかなあ・・・・」と思ったが、まあいいか。
ここで、奥方の紹介をしておこう。どこで、ここの方丈(住職さんの事をそう言う。家主さんのこと)さんと知り合ったのか不明だが、小柄で上品な顔立ちの女性である。昔、ダンサーをしていた(今もそうかもしれない)とのことで、めっぽうジャズ好き。当地に数店舗の多目的ジャズホールを経営している。当地のみならず、全米に名の通った店らしい。はからずも、僕たちが着いた日は、新たな店舗の開店の数日前。ラッキーだった。忙しい中、僕たちのために、色んな準備をしてくれていた。後で書くことになるが、開店の前夜祭に招待され、ワインを片手に、本場のジャズを堪能することになる。
それぞれに、ねぐらを定め、「さあーーー夕食でもくいに、近くまで繰り出すか」と言うことになった。ねぐらも決まり、明日からの当地探索に、我々の心は躍った。
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