うっすらと朝が明けかかった。時は午前5時半。入り口のドアが「ガラガラ」と開いて、誰かが入ってきた。「誰かなあ?」と思ったが、そのまま寝ていると、僕の寝ている横とその隣で、二人の外人の方が坐禅を始めた。丁度ドラえもん君と僕の間である。「こりゃ^^まずい」と、即、僕は蒲団をたたんだ。体操服姿で寝ていたので、着替えの必要はなかった。僕も見よう見まねで、足を組み坐禅を始めた。なんと、こういう事を察していたのか、ドラえもん君は既に坐禅を行っていた。いやああ、さすがはドラえもん君だ。予知能力を働かせたのだろう。

反対側の単(坐禅したり寝起きするところ)には、スネ夫君とネズ君、のび太君の三人が寝ている。状況を把握したのか?、のび太君も起き上がり、静かに坐禅を始めた。スネ夫君とネズ君はさすがに大物兄弟だ。時折、いびき音をたてながら爆睡を続けた。こういう状況では起こすことはしない。それぞれがそれぞれの持分で行動する。

いびき以外には物音がしない静寂の時間が流れていく。「いつまで続くのかなーー」と、僕はいたくなってきた足を交互に入れ替えながら思った。これも試練である。その試練が更に追い打ちをかけた。なんと、フランス帰りの方丈様が、おごそかに登場。僕の横の単で、坐禅を始めた。僕は外人さんと方丈様の間に挟まれ、身動きの出来ない状態に。まいったぜ。

「心頭滅却すれば火も又涼し」という。僕は姿勢を正し、微動だにせずに坐ることに勤めた。とは言うものの、雑念が頭を駆けめぐる。「日本で飲んだ小料理屋の焼酎は美味かったなあ−−−。のりちゃん先生はどうしているかなーー?。僕のキープはまだ残っているかなあーー?」。とめどもなく雑念が浮かぶ。

スネ夫君とネズ君の爆睡はまだ続いていた。時間がどのくらい経ったのだろう?。時計を見るわけも行かない。僕はあげている足を入れ替えた。丁度そのとき、僕の隣に坐っていた方丈様が立ち上がり、部屋の隅こつり下げてある鐘を一つ鳴らした。静寂の中で、「コーーーン」と。きれいなメロディーが聞こえた。方丈様はそのまま出て行った。二人の外人さんも出て行った。顔は全く分からない。一人は女性のようだった。終わったのだ。

僕たちは大きく息を吐いて、背伸びをした。まだスネ夫君とネズミ君の爆睡は続いている。のび太君が言う。「坐禅もなかなかいいよね」と。しかりだ。終わってみると、もっと坐っていたいなあーーーという衝動に駆られる。すっかり目も覚めた。朝の清掃をしようかと思ったとき、スネ夫君とネズ君が起きた。「何かあったの?」と、聞いてきた。かくかくしかじかと説明すると、「へーーーそうだったの」と、平然とした様子。やはり大物だ。

清掃を終え、僕たちは母屋の台所へ向かった。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

この日記について

日記内を検索