僕たちは、こんもりと茂ったこの山の中に何があるのか?興味津々だった。受付には数人のスタッフがいて、今日の宿泊の受付をしている。二人一組で三部屋をチャーターした。スネ夫君とネズ君の兄弟ペア。ドライバーの方とドラえもん君。のび太君とジャイアン(僕)がペアを組んだ。宿泊費を払い、それぞれにゴム紐付き鍵が渡された。料金は至って安かった。

「さーて。いくべー」と、スネ夫君の元気の良い言葉に促されて、僕たちは坂になっている山道をテクテク歩き始めた。まずは宿泊する建物を探すことに。あちこちにコッテージが建っている。なるほど。あの中のどれかか?。残念ながらまだ裸族の姿は見えない。行き際、帰り客と見られる外人男女に会った。軽く会釈をして通り過ぎた。

僕たちは受付で示された地図と番号札を頼りに、部屋を探した。2〜3分歩くと、通路の右手に何棟も連なったコテージがあった。無事に発見だ。二組の部屋が隣接し、スネ夫君の部屋が横の棟だった。まずは荷物を入れ、このヌード村の温泉へ行くことに。温泉につかった後は、ここに設けられているレストランで夕食を採ることになった。のび太君と僕は部屋へ入った。こぎれいな部屋である。なんと、そこにはダブルベッドが一つ。真ん中にでデーンと据え付けてあり、壁際に長いソファーが置かれていた。洗面設備はここになく、どうやら共同のようだ。開口一番、のび太君が「えええつ、今日はジャイアンと二人で、このベッドに寝るの?」といかにも、嫌そうに言う。「そりゃああーーー僕だって嫌さ」と言いたかったが、ぐっと制した。

とりあえず温泉へ行くことに。僕たちは部屋を出て、再び山道を登った。しばらく行くと平地へ出て、そこに温泉らしき施設と、プールみたいな大小の浴槽が外に設置されていた。何人もの男女が、すっぽんぽんで歩いている。「うひゃあーーーつ、これかあー。ヌード村って?。混浴温泉の親分みたいなものだぜ」と少々、期待はずれの感があったが、とりもなおさずここは外国。

しばらく観察すべく、ベンチに腰掛けた。どうしたわけか?、のび太君は、つかつかと一人で何も言わずに山の方へ歩いていく。「僕は置いてきぼりか」と少々不満だったが、恐らくこの山の全貌をカメラに収めるべく、好位置をさがしに行ったのだろう。数分待ったころ、彼は山を下りてきた。どうも、好条件の場所はなかったみたいだ。まだ、遠くからではあったが、裸の男女のうごめく姿が垣間見られた。期待と不安が同時に押し寄せた。

僕たちは脱衣所らしき建物の扉を開けた。中では老若男女の外国人が、何の屈託もなく着替えをしていた。僕たちはあっけにとられながら、見よう見まねで、脱衣した。大小のバスタオルが一枚ずつあてがわれている。日本なら当然、バスタオルを腰に巻いて外へ出るところ、こちらでは、臆面もなく、すっぽんぽんで外へ出る。なるほど、これがヌードってやつだ?。目前で外国人裸女の姿を観察するのは初めての経験。珍しくもあり、恥ずかしくもあり、怖くもあり、嬉しくもありだ。

「じいーーーっ」と、目を凝らして美女の裸体を見入る事も出来ず、ただ、何となく自然を装いながら観察するのが精一杯。おっぱいは、お椀型から、どんぶり鉢型。中には焼いた餅を「だらり」と引き延ばした、だらり型まで、とりどりだ。卑猥な話しになるが、僕は昔から疑問に思っていたことが一つあった。それは何かと言えば、外国の女性は髪の毛が金髪なら、下も金髪かどうか?と言うことだ。それを確かめるべき最良の機会が、このヌード村でやってきた。

僕は何気なく美女の裸体を眺めた。頭の毛は金髪。しからば下はどうだ?。よく分からない。なにやら、わかめみたいな、もずくみたいな、得体の知れないものが、ぼんやりと網膜に写った。色までは識別できなかった。多分、金髪なんだろう?。となれば、白髪の人は白髪なんだろうか?。疑問は深まるばかりだ。

そんなくだらないことに事に頭を巡らしているようでは、僕は、まさに、あんぽんたんの際たる者だ。のび太君と僕は小温泉プールへ向かった。最初、バスタオルを腰に巻こうかと思ったが、のび太君が「そんな事をしたら、ここではかえっておかしい」と言う。彼は堂々と外を歩いていく。僕も遅ればせながら彼の後に続いた。バスタオルを肩にかけ、やや前屈みになり、両手を、おへその上あたりにかざした。やはり恥ずかしい。僕は純粋な日本人だぜ。

小温泉プールには階段がついていた。おそるおそる階段を下り、湯船に身を沈めた。プールの縁廻りにはずらりと老若男女の外人が陣取り、僕達を眺めた。きまりの悪いこと、この上なしだ。プールの湯は何度くらいあるのだろう?。日本の温泉に比し、ややぬるめだった。深さは1.5メートル以上はありそうだ。僕たちは首までつかりながら、空いているプールの縁を目指した。

やっと、自然体で周囲を見回せるようになった。な・なんと、ほとんどが男女のペアーだ。僕たちを含め男同士のペアーはほんの数組。いわゆる同性愛者の人たちだろう。あごひげを生やした年配の男性に若い男性が寄り添っている。男女のペアーは体を寄せあい、いちゃいちゃしている。僕たちもそういう目で見られているかも知れない。「こりゃああーーー場所を間違えたぜ」と思った。

プールの真ん中には広い空間があり、一組の男女が、水中バレーのような演技をしていた。何事かと思いよく観察するとバレーのようでバレーではない。男性が リード役で女性は、うっとりとした表情で瞑想に浸っているようである。女性は男性に身を任せ、ぽかぽか浮いたり、下半身を沈めたりしている。男性の片手は、どうもマッサージをしているようだ。なるほど、それで、気持ちが良い訳か。瞑想マッサージとはこういうものか。後で聞いた話だが、この村は「瞑想の村」とも言うそうだ。お金を出して頼むと、この瞑想マッサージをしてくれるそうだ。僕は遠慮した。

「そろそろあがろうぜ」と僕はのび太君へ言った。どうも彼はまだこの場へいたいらしい。「じゃあーーお先に」と僕は一人で、次なるコースへと赴いた。やや、すっぽんぽんにも慣れてきた。ぼいんの女性ともすれ違ったが、意に介せず。時はわずかであれ、人を環境に慣らすものだ。恥ずかしかった気持ちがやや薄れた。

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