二ヶ月ばかり日記から遠ざかっていた。その理由は?と言えば、仕事の忙しさもさることながら、やや、厭世的になっていたからだろう。ようやくその呪縛から解放されつつある。
家の周りを見渡すと、田んぼでは既に稲刈りがおわり、切り株が寂しそうに空を向いている。豊作のよし。何よりだ。街路樹の銀杏の葉っぱが黄色く色づいてきた。ひらひらと風に舞う準備もやがて整うだろう。
時は秋。まさしく秋なのだ。僕の心もあの、「秋の日のビィオロンのため息の・・・・・」ではないが、いささかうら悲しである。元気だけが取り柄の僕も普通の人間だ。感傷に浸るときもある。
おっと、いけない。日記幕開けの今日。気が滅入る話しは止めておこう。そうそう先日、嬉しいことがあった。もう、半年くらい会っていなかった「安さん」」から、珍しく電話がはいった。
「安さん」とは、さる小料理屋で随分昔に知り合ったカラオケのデュエット兄弟。「○○小路ブラザーズ」と異名をとり、「白いブランコ」等の名曲を二人でおらび、拍手喝采を頂戴したものである。
時が流れ、僕たちは離ればなれになった。というのも、長年通っていた共通の小料理屋を僕が勘当され、行く店が「安さん」と異なるようになってしまったからである。
僕たちは気にはなりながらも、同伴することがなくなった。その「安さん」と
久しぶりに再会したわけだ。意気投合しないわけがない。僕たちは、さる小料理屋へと赴いた。ブランコを揺らしているがごとく肩をゆすり、例の「白いブランコ」を、おらんだ。ブランコは優しく優しく揺れた。コンビはまだ健在だった。僕たちは顔を見合わせて、「にこっ」とほくそ笑む。恋人同士ならともかく、大の大人達が顔を見あわせ、ほくそ笑むのはどうも、「あちらの傾向有り」と思われそうで、恥ずかしかったが、まああ、愛嬌だぜ。
てなわけで、それなりに娑婆世界を謳歌してはきた。ただ、いかんせん、昨今の世情不安は気がかりだ。良い材料がない。日本丸はどこへ向かおうとしているのか?。そのことが今、僕の脳裏を支配している。
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