のび太君は一般道を、のろりのろりと進んだ。僕たちは無言のまま窓の外をみやっていた。数十分進んだところで、国際線入り口の標識が目に入る。「着いたぜ」。僕たちの心は安堵感に変わった。急に皆、元気が出てきた。

だだっ広い国際線の駐車場はまだ、ガラガラだった。のび太君は入れやすい場所に駐車。バッグを下ろし、玄関フロアーを目指した。足取りは軽かった。フロアーはがらんとしていた。僕たちは円陣を組み、「さて、次にどうすべーー?」と思っていたところ、リーダーのドラえもん君が「まず搭乗券を入手しようや」と言ったので、僕たちは航空カウンターへと赴いた。無事に航空券を手に入れ、午前8時に約束していた旅行社の添乗員と会うため、ロビーで待つことにした。おっと、待つまでもなかった。そこにはすでに、合図の旗を手に持った添乗員が待機していた。「なるほどねーーー」。ジャイアンたる僕はいたく感動・・・・・。あれこれと説明があり、「good trip」という言葉を残して添乗員はそこを去った。後は我々の自己責任において、事を運ばねばならない。

出発時間まで、まだ2時間以上あった。リーダー、ドラえもん君が、「もう中へ入ろうや」と言ったので、皆、即同意。まずはパスポート審査だったっけ?。白線上にならんで、順番を待つ。昔に比べて、度アップに写った自分の顔写真が目立つ。僕はパスポートの写真を見て、にっこり。係員が「じろっ」と僕を見つめた。「はあいいい、間違いなし」ということで、スタンプをぺたぺた。当然だぜ。ほかの者はすでにクリアーしていて、次のステップを進行中。どうも、僕はこういうことには疎い性格のようで、いつもビリになる。

さあーて、次は手荷物検査だったっけ?。上着、ポケット内のもの、携帯電話、カメラ、時計、財布等を四角いかごに入れ、バッグをベルトコンベアーに置く。チャペルの門のようなゲートをくぐる。結婚式ならいざ知らず、いつもいやな瞬間だ。ドラえもん君、のび太くん、夜泣き爺さんは見事クリアー。ジャイアン、ネズミ男君が、ちょっくらつまずいた。ジャイアンは身体検査と荷物の中身を調べられた。検査官が僕を手招きして、隅っこへ導入。「はあい、両手を広げて」と言う。僕は「かかし」状態になり、拡大鏡の親分みたいな丸い鏡が僕の全身を這う。「僕のたまたまちゃんに触れたら、一物をぶったてて鏡を割ってやろうか?」と思ったが、もうその力もないか?。「足にまいりまーーす」と言う。いやいや、そんな優しい言葉ではなかった。僕は「靴を脱ぎましょうか?」と言ったら、その必要はないと言う。余計な配慮だったか?。。

身体検査を終わったら、うら若き女性が僕を呼ぶ。荷物の中身検査だ。「おやーっ」と、横を見ると、ネズミ男君がバッグの中身を調べられていた。なんでも、大きなボトルの瓶が見つかったようだ。封を切っていないウイスキーのボトルだった。免税売店で先ほど購入したやつだ。液体類は一個、100ミリリットル以上は持ち込めない。それで指摘されたのだろう。封を切っていなかったので、無事クリアー。

人の事ばかり言っておられない。僕はと言えば、バッグの中の液体類を調べられた。白い透明のビニールケースに収められたアイボン、コンタクトの洗浄液、液体歯磨き粉等々が調べられた。クリアーだ。次にほかの品々に及んだ。シルクのパンティー。じゃない。パンツ。いや、トランクスか?。女性係員の顔を僕は「ちらっ」と眺めた。無表情。さもありなん。こういうケースに何百回となく遭遇してきた彼女らにとって、これらの物質はあくまで検査対象。いちち顔を赤らめていては仕事にならない。僕は思ったことよ。「虎柄のシルクパンツがかわいそうだぜ」とかなんとか・・・・。

冗談を言っている場合ではない。ほかの四人が、ニヤニヤと笑いながら僕の出現を待っていた。僕は「、ごめん、ごめん」と言いながら、笑うセールスマン風ハットに手をやり、苦笑いだ。「さあ、搭乗口待合室まで行こうぜ」とリーダードラえもん君が声を発した。僕たちはうなずき、彼の後を追った。この先、いかなる事態が待ち受けているとも知らずに・・・・・・。





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