バッチャン村を離れて、車は別のショッピング店へ立ち寄った。恐らくこの店も旅行社とタイアップしている店だろう。ある意味では、そういう店が安全なのかもしれない。ここでは陶器類をはじめ、いろんな小物類が販売されていた。これと言って欲しい物はなかった。ただ、何か土産を買わなくちゃと、店内を見回した。とある一角で、のび太君がなにやら交渉している。側へ行ってみると、「箸」を買っているようだ。竹で編んだような細長い色つきの筒に箸が差し込んである。それでワンセットらしい。のび太君は10セット購入。クライアント達への土産に最高と考えたのだろう。さすが、貴公子、のび太君だ。スマートで、そつがない。

それえを見ていた僕、ジャイアンも、「うん、これだ」と、同調。これなら荷物にもならないし、値段も安そうだ。「えい、やあーーー」と5セット購入。そこで、ジャイアン、すかさず値引き交渉。相手は、この店の看板娘のような、かわいい女性だった。何度振られても懲りないジャイアンは即、切り出した。日本では時々通用する奥の手だ。「i love you and you love me. we love each other. please price down」。通じたのか通じないのか?、彼女は「にこっ」と笑って、手をよこに振った。「oh my god!!」。見事値引き交渉は失敗だ。これを聞いていた、現地案内人が、ジャイアンの肩をたたき、「あなた、交渉うまいね!!」と言う。交渉は決裂したのに、何がうまいもんか。てなわけで、定額で購入したのでありました。ただ、帰り際、デジカメで彼女をパチリ。もう、二度と会えないとしりつつ。まあ、これも旅の記念だ。おばん諸氏は、「おばかさんね」と言わんばかりに笑い転げた。僕は「不愉快だ」と、その場を離れた。ドラえもん君、夜泣き爺さん、ネズミ男君達は冷ややかな目で、店内を見て歩き、何も購入せず。見る目があると言うべきか?ないと言うべきか?。僕には判断出来ない。

買い物騒動が終わって、いよいよ、旅のメインとも言うべき、「ハロン湾」を目指してバスはでこぼこ田舎道を走った。ハロン湾は世界遺産にも登録されている。そこで、クルーズを楽しみながらシーフードを味わうという段取りである。「今や遅し」と僕たちの気はせいた。

炭鉱のある町を過ぎ、田んぼを左右に見ながら、車は中央線のない道をひたすら走る。3.5時間の道のりらしい。相変わらず、モーターバイクが車に向かってきてはすれ違っていく。バイクに乗っている若い女性も多い。「一体、どんな顔をしているのか」と追い越しざま、車窓から振り返って見ると、ヘルメットをかぶり、マスクをしているので、定かには顔が見えない。姿勢正しく、スリムな体型の人が多い。バスの方を見上げたら、手でも振ろうかと思ったが、彼女らにそんな余裕はないだろう。目をそらせば事故になること間違いなしだ。

僕たちは途中で、「アオザイ」の専門店へ立ち寄った。トイレ休憩をかねてである。店内には色とりどりの服地が陳列してあり、それはそれはきれいであった。また、若い縫子の女性達が賢明に刺繍をしていた。店内に募金箱のようなものがあり、僕は幾ばくかの紙幣を中へ入れると、縫い子をしていた女性が「にこっ」と笑みを返してくれた。純粋無垢の笑顔は、僕の、はちゃめちゃな人生の日々に、新鮮な潤いを与えてくれたかのようだった。アオザイは世界の五本の指にはいるほどのすばらしい民族衣装。チャイナドレスも、チマチョゴリも確かに良いが、アオザイはまた格別である。パンタロンみたいなズボンが足を長くみせる。上から羽織るワンピースみたいな物の横が相当上まで割れているのだ。それなりの人が着ると、それはそれは美しいの一言だ。値段もピンからキリまであるようだ。誰が着るのか知らねど、おばん諸氏の一人が、注文したようだ。

車はどんどん走る。道すがら気づいた事だが、道路に沿って、屋台のような出店が、延々と続いていた。観光客が足を止めて、そこで土産を買うのだろう。ただ.日本人観光客よりも、中国、韓国の人たちが立ち寄ることが多いそうだ。車外風景が結構おもしろく、時間はあっという間に過ぎてしまった。現地案内人が、「まもなく到着します」という。そう言えば、田んぼの風景から海辺の風景へと変わってきた。湖か、海か判別しがたい場所へ来た。海上の遠くに島らしき物が見えた。案内人が、ここは世界遺産の場所ではないという。もう少し先らしい。漁船が停泊していた。海上生活を送っている漁民の船と言うことだ。目的地はもう、目と鼻の先。僕たちは「どんなとこだっぺ?」と期待に胸を膨らませた。


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