僕たちの旅もいよいよ終焉を迎えようとしている。ただ、現地を飛び立つには数時間待たねばならない。これがつらいんだよなあーーー。僕たちは椅子に腰掛け、周りを観察していた。あれよあれよという間に、他の客達が搭乗口のなかへ消えていく。0時を過ぎた頃には売店のシャッターが降りた。がらんとした待合室はまさに空虚。僕たちの目も空ろになってきた。おばん諸氏はどこへ行ったったやら姿が見えじ。やつれた顔を殿方の前にさらすのは失礼と思ったのだろうか?。さすがに女性だ。

僕たちは搭乗入り口付近の椅子に移動した。何の動きもない。いつになったら、係員があらわれるのか?。僕たちはそれぞれ、椅子に寝そべった。まさか、こんな場所ではしゃぐ訳にもいくまい。ドラえもん君は、腕組みをしながら一点を見つめている。何を思っているのだろうか?。日本へ戻り、再び始まる娑婆世界での格闘に思いをはせているのだろう。このジャイアンも同じ気持ちだ。

かたや、夜泣き爺さんは、さすが長老。これしきの苦痛は何度も経験済み。疲れも見せず、椅子と一体となっている。ネズミ男君は、やつれた顔に、さらに目を細めながら、今回の旅のスケジュールに不満を述べた。「行きも待たされ、帰りも待たされる。待たされの連続じゃ、たまらんばい」と。しかりだ。

貴公子、のび太君は、さすがに兵。「郷に入っては郷にに従え」と言うことだろう?。淡々とカメラや荷物の手入れをしている。どれくらい時間がたったのだろう。「カタン」という音がして、ゲートの鎖が外された。「いよいよかあーーー」。僕たちは搭乗口へ急いだ。な、な、なんと、搭乗口に立っていたのは、荷物検査をした、あの美女。「あっと驚く為五郎」とはこのことだ。ジャイアンは思わず床にチケットを落としてしまった。クールなまなざしで、女性がそのチケットを拾ってくれた。僕、ジャイアンは照れながら、頭を「ぺこん」と下げた。

苦い経験をしたドラえもん君は、「知らぬ存ぜず」で、そっぽを向きながらゲートを通過。やれやれだぜ。機内へ乗り込んだ。午前2時。日本は4時頃か。3時間のフライトで午前7時頃到着する。僕、ジャイアンはひたすら、スリープモードに終始した。朝食らしきものが運ばれてきたが、僕はキャンセル。ただ、じっと目を閉じて、到着を待った。薄明かりの中にエアポートが見えた。
帰ってきたのだ。僕たち数名が日本にいなくても、日本丸はちゃんと活動している。我々のちっぽけさを感じた。

さああ、最後のコース。税関の門をくぐらねばならない。あらかじめしたためておいたカードを差し出す。他の4人は難なく通過。僕の番だ。女性係員がバッグの中を見たいという。えええつ?。何故?why?、と思ったが仕方がない。オープン・ザ・バッグで、開くと、係員が、白魚のような手で、土産品等をあさりだした。問題なし。やれやれだ。皆がニヤニヤしながらロビーで待っていた。

日本だ!!。どこまでも続く青い空。この空は、昨日いたところの空とつながっているんだ。何という不思議。変な感覚に取られながら、のび太君の高級車を目指して、我々急いだ。皆の心は既に家にありか?。


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