今日は彼岸の中日。どんよりと曇った空。時折、小雨がぱらつく。暑くもなく寒くもなし。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものだ。家の周りの田んぼでは、たわわに実った稲穂が、風にそよいでいる。自然の醸し出す風景はなんと見事なものか。

最近、嬉しいことがあった。今年は駄目かなと思っていた月下美人が、七個の蕾をつけた。すくすくと成長している。月下美人は調子が良ければ、年に2~3回は咲くという。ラストチャンスで蕾をつけたわけだ。嬉しいこと限りなし。

あまた花はあれど、この月下美人は僕にとって恋人みたいな存在。葉っぱ一枚から成長し、いまや僕の背丈を追い越すほどに支柱がのびた。細長い葉っぱから茎が伸び、蕾が出て、やがて、天女が純白のドレスをまとって舞い降りたがごとくの、大輪の花を咲かせる。また、オーディコロンならぬ、優美な香りを漂わせる。幾多の虫たちが、その香りを求めて殺到するが、「負けてはなるまい」と、虫たちをはね除け、僕の独り占めにする。僕も欲が深いぜ・・・。

人間の女性達は「これでもか」と言わんばかりに長寿を謳歌するが、月下美人は、その名のとおり、月の下で一夜限りの生を全うする。はかない命なのだ。だからこそ、精一杯の輝き見せるのだろう。そんな命がいとおしくないだろうか?。いや、限りなく、いとおしい。

開花するころ、僕はいまや開かんとする蕾の前に陣取り、寝ずの番をしながら、開花の瞬間を待つだろう。純白のドレスから放たれる香りが、僕の全身を包むだろう。まさに至福の時だ。「オーマイ スウィートハート」。今年も忘れずに会いに来てくれた君に、僕はそっと、口づけをするだろう。

朝起きて、日増しに成長していく君の姿を愛でるのが僕の日課だ。




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