いよいよ月下美人の開花が迫っている。純白の大輪の花が暗闇の中で、今や遅しとうごめいている。今までは外の玄関横に置いていたが、開花の瞬間をとらえるには明かりが必要ということで、玄関の中へ鉢を移動させた。

七個と思っていた蕾が実は八個あり、末広がりでラッキーだぜ。今宵はそのうちの五個が開花する模様。もう七分咲きだ。風もないのに小刻みに花びらが振動している。開花は時間の問題だ。僕はパソコンで、この備忘録をしたためながら玄関へ行ったり来たり。その都度、明かりを灯したり消したり。

わおーーーーーっ、午後八時十五分・・・開花だあーーーーー。僕はすかさずデジカメのシャッターを押す。美しい・・・・。この世の花とは思えない。まさに我が家に舞い降りた天女達。

ろくろ首のように、細長い首をもたげ、僕に何かを告げようとしている。「はかない命だけれど、これが私達の精一杯の感謝の気持よ。どうぞ愛でて・・・」とでも言いたげである。

僕は思わず花びらの中に顔を埋めて、天女の1人1人に接吻をする。甘酸っぱい香りが頬を包み込む。至福の瞬間だ。ヤッホーと叫びたくなる。

朝になれば精気をを失った花びらは、だらりと首を落としている。輝いたという記憶だけを残して。なんかの歌の歌詞みたいだなあーー。まああいいか?。そんな天女達が限りなくいとおしい。

僕は思う。たいした輝きを残さなくても良いが、生きたという証だけは残したい。


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