僕たちは最前列に並んでいたので、即、車内へなだれ込む。こういう行動が、「おじん」と言われる所以なんだろうなあーーと、思った。車内は、案の上、混んでいた。三人一緒に座れる座席がない。仕方なく、ばらばらの席に陣取った。会話が出来ないのが残念だ。こんな時は狸寝入りが一番。腕組みをし、帽子を深々とかぶり、うなだれた。後の二人は、どうしているか分からない。恐らく、大事なカメラをせっせと手入れしているかもしれない。

確かに眠い。朝五時に起床したからだ。旅への興奮があったからというわけではない。寝過ごして友人達に迷惑を掛けてはいけないという感覚が働いたのだろう。うつらうつらしていると、「切符を拝見します」と、車掌さんがやってきた。難なくパスだ。外の風景を見た。明けゆく空に雲がぽつんと浮かんでいた。曇りながらまずまずの空模様だ。飛行機も順調に飛ぶだろう。

電車は二つばかり、途中停車した。降りる客有り、乗り込む客有り。人は様々だ。何かの目的を持って人は動く。何のつながりもない。共通なことと言えば互いに人間であることだ。不思議なるかな人間、奇妙なるかな人間。変なことを考えていた。電車はこともなく走っていく。しばらくすると、車内アナウンスが。「まもなくこの電車は終点、○○駅へ到着します。出口は右側のドアです」。親切なことだ、気の」短い僕は即、荷物を手に取り、出口のドアへ向かった。のび太君と、ネズミ男君も後ろにいた。気が早いのは皆、同じようだ。

さあ、これから地下鉄に乗り、空港へ向かう。およよよ、地下鉄乗り場はどこだっけ?。皆、右往左往していると、さすが紳士だ。のび太君が言う。「一端、改札口から外へ出なくちゃいけないんだよ」と。なるほど、そうなのか。僕は直結しているかと思ったがさにあらず。のび太君の後ろに従った。改札口をでると、外は雪だった。これは何かの小説にあったなあーーーー。外は雪ではなく、人、人、人・・・。

ところで、地下鉄乗り場は?と、あたりを見回すが、それらしきものなし。ネズミ男君曰く。「駅の外に、地下鉄用の階段があるぜ」と。確かにそうだった。三人寄れば文殊の知恵というが、まさに三つどもえの知恵の結集だ。物事に疎いジャイアンは、大助かり。

地下に続くエレベーターをなんどか下り、切符売り場で券をを購入。それから乗り場まで歩くこと数分。やけに遠い。年配の人には大変だ。ネズミ男君は、車輪の着いた旅行バッグをカタコト、ゴロゴロと引きずりながら歩く。これが結構耳障りなんだよなあーーー。「シトシトピッチャン、シトピッチャン」という雨だれにも似た音ならば、聞き心地もいいんだが?。車輪付きバッグも持たない僕のひがみかあ・・・・。

乗り場へ到着。待つこと数分。電車が音もなく滑り込んできた。乗り口以外の場所にはフェンスが施してある。なるほど、危険防止の配慮か。意外と空いていた。三人、横一列に座った。皆の目は遠くを見つめているようだった。それもそうだ。今から乗る飛行機への心配か、やり残してきた仕事の事がふっと、頭をよぎっているのだろう。旅立ちの初日には誰もが思うこと。
数分で飛行場へ到着する。朝食を食べる時間はなさそうだ。僕たちは即、集合場所へと急いだ。いかなる人達が集合しているのやら・・・・。






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