とっちゃん坊や達の旅も年を越してしまった。なにはともあれ、昨年は三人の坊や達が意を決して、北海道の旅へと出かけたのだ。ジャイアンは2回目。のび太君も2回目だったが、ネズミ男君は初めての経験。彼の意気込む気持ちに気持ちに賛同して、僕たちは格安の旅を申し込んだのだった。


無事に現地へ飛行機は到着。ツアーのバスで、薄暗くなった町並みを見ながらバスはどんどん山の方へ向かっていく。今宵は層雲峡温泉での宿泊だ。バスの走行距離240キロメートル。車内ではバスガイドさんが流暢な日本語で話しまくっている。さすがに話は面白かった。下手なバスガイドさんだと、退屈きわまりない。おまけに、周りは初老の夫婦ずれが多い。我々は場違いの旅に来たのかも知れないと思ったほどだ。

それでも、のび太君とネズミ男君は、高級なカメラで、車内から外をぱちぱちと写している。確かに北海道の風景は、故郷の風景とは違っている。どう言ったらいいのだろう?。白樺林が延々と続いて、寂しそうな風景を醸し出している。

詩人と自称している(誰も言ってくれないから)僕、ジャイアンの脳裏には北原白秋さんが読んだ、「からまつ」という詩が浮かんだ。・・・・・。

「からまつの林をすぎて、からまつをしみじみと見き、からまつは寂しかりけり。旅ゆくは寂しかりけり。・・・・・・・」。いやあああ、泣けるぜ。

なんでも、北海道は「エゾ松」と「とど松」の産地らしい。社会科に事業で習ったように思うが、その違いが分からない。バスガイドさんが、すかさず教えてくれた。定番のマニュアルだろう。天まで届くがごとく上をむいて伸びているのが「とど松」で、「もうええぞ」と下を向いているのが「エゾ松」らしい。「なるほど、そうだったのか」と、僕たちはいたく感動。

ようやく一泊目のホテルに到着。A級ランクのホテルとのこと。確かに観光地らしい趣を呈していた。ただ、ホテルの外はっ暗。どこにもネオンらしきものが見えない。それもそうだろう。夜は凍えそうに寒く、外で遊び惚けようと思っている輩は我々くらいのものだ。金婚式か銀婚式か知らないが、夫婦愛の再確認にはもってこいの場所と言えるか?。

とりあえず、割り当てられた部屋へ向かった。部屋にはシングルのベッドが二つ据え付けてあり、その横に畳が敷いてあり、応接テーブルがあった。「ありゃあーー、ベッドが一つたりないぜ」と、ネズミ男君が言う。「1人は畳で寝るんだよ」と、のび太君が言う。すかさず、「じゃああ、おいどんが畳に寝ますばい」と、ネズミ男君。いびきという公害に少しでも遠ざかりたいという、ネズミ男君の発想だ。賢明な判断とピウべきか?。

僕たちはまず、風呂にはいり、座敷での夕食会に赴くことに決定。だだっ広い浴槽やら、こじんまりした浴槽がいくつかあり、二階には露天もあるようだ。さすがに、露天に入るには勇気がいる。南国育ちのジャイアンには寒さが耐えられない。また、元々、ジャイアンはかの有名な?温泉町で産湯を使ったので、さして温泉に興味はないが、のび太君とネズミ男君にとっては、温泉は何よりのご馳走である。従って、僕はカエルの行水だ。ぱっと湯船に浸かり、ぱっとあがる。彼らを待つこと十分。浴衣のままで、宴会場へ出動だ。

既に1号車の客達は食事を終えていた。2号車の客はまだ誰もいない。僕たちが一番乗りだ。畳には三人用、四人用、二人用と席が分けられていた。僕たちは三人用の席に案内された。なるほどねーーーー。こんな所にも添乗員さんの配慮があるわけだ。僕たちはすかさず、ビールをオーダー。これはもちろん自費払い。添乗員さんはあっちへ行ったり、こっちへ来たり、人数確認で大わらわだ。ビールを勧めると、「今日はちょっと無理みたい。あした一緒につきあうわ」と残念そうだった。泊まる場所も今日は別の所らしい。
確かに、人を相手にする仕事は疲れる。責任も重大だ。思わず合掌礼拝と頭を下げた。

僕たちはビールの後に、現地の焼酎をボトルでオーダー。「まああそこそこいけるぜーーー」と、ぐいぐいと飲み干した。料理は肉以外の山菜と魚だった胃にもたれず、丁度良かったか?。お子様向きでもなく、壮年向きでもなく、熟年用にぴったしの料理だ。お腹も空いていたので、きれいに平らげたことはもちろん。僕たちは最初から最後まで、この場所に陣取り、酩酊することいつものごとし。始末に負えないトッチャン坊や達だ。あとは野となれ山となれか?。







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