とっちゃん坊や達の旅もいよいよ最終章に近づいた。ひとしき白鳥と遊んで、バスは飛行場に向かって走る。長かったようで短かった旅。乗客の仲間達は、たいそう土産品を買い込み、疲れも知らず元気だ。僕たちとっっちゃん坊や達は、疲れ気味と見えて、皆、腕組みしながら首を垂れている。ときおり、目を開いては外の様子をうかがう。ここが北海道か?。日本国内どこへ行っても、そう変わってはいない。同じような顔をした日本人が切磋琢磨して生きている姿は全国共通だ。

まもなく飛行場へ到着。帰りは乗り換えなしだ。数時間フライとすると、故郷に降り立つ。そこで解散となる。搭乗までには少し時間が合った。僕たちは早めに荷物検査をうけ、中のロビーで待つことにした。だが、しかし、ばっと、のび太君は例によって、すこし寸法が長いバックだったので、機内持ち込みが駄目。彼は怪訝そうな顔をしながら、遅れて中にやってきた。

「とりあえず、売店で土産を買おう」と、ネズミ男君が言う。「えええつ、誰にやるの」と聞けば、かれの姪に「白い恋人」を買っていくと言う。やあっと、彼の堅い財布のひもが揺るんだ。「白い恋人かあーー」、僕もつられて購入。

買い物の後、軽い軽食でもとるかと、待合室の売店を物色していると、駅弁ならぬ空港弁があった。適当な奴を飲み物と共に購入。椅子にすわって、ぱくついていると、添乗員さんが、「あら、おいしそう」とやってきた。無事に乗客がたどり着くまでは責任があると見えて、落ち着かない様子。飲み物でも差し入れようかと思ったが、その前に立ち去ってしまった。

おっと、そうそう、忘れていた。三泊四日を演出してくれたバスガイドさんとの別れの事を忘れていた。博学な彼女の語らいには、いたく感動だ。思えば、旅とはガイドさんの出来不出来もおおいに関係があるやも知れぬ。1号車はいざ知らず、2号車は特A級のガイドさんだった。ツーショットで記念撮影したことはもちろん。さすがに、肩には手をまわせなかったが。にこにこ笑顔のうちに、別れを告げた。恋人とのわかれはこうはいかないだろう。ネズミ男君の「恋の触手」が動いたかどうかは知らないが、ジャイアンに言わせえwば、「もったいない」の一言か?。

そうこうするうちに、機内乗り込み可のアナウンスが流れた。とっちゃん坊や達は、一番乗り込みを狙ったことは言うまでもない。案内のお姉様達が、にっこり笑顔で迎えてくれた。照れるなあーーーー。僕たちは容易に座席を確保。やはり、一番乗りは気持ちいいぜ・・・・。

いよいよ北海道ともおさらばだ。明日から、厳しい現実が待っている。いつまでも、浮かれ気味ではいくまい。緊張感で体が縛れる気がした。おっと、それは、シートベルトがきつかったからか?。飛行機がそろりそろりと滑走路へ移動する。僕は目をじっと閉じた。フライトが怖いわけではない。いろんな思いが脳裏の中で錯綜する。


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