9人の旅(4)

2011年6月18日 日常
9人の旅(4)。とっちゃん坊や編
 相変わらずの雨が続いている。今年はどうも、雨が多いようだ。良しにつけ、悪しきにつけ自然の織りなす現象は、未知数だ。なんでも、太陽の活動も、これから収縮期に向かうそうな。地球への影響はどうか?。小氷河期がおとずれるという学者もいる。そうなれば地球温暖化に歯止めがかかり、良い面もあるかも知れないが、なにしろ、自然の動向は読めない。

おっと、旅日記の続きを書かねばならない。どこまで行ったっけ?。時の経過と共に記憶も定かでなくなる。そうそう、朝食を食べて、免税店で若干、お買い物をして、いよいよ搭乗だ。VIPの人たちが最初に乗り込んだ由。そう言えば昔、僕も一人でビジネスクラスに乗ったことがあった。きれいな、お姉様が迎えに来て、「こちらの通路からどうぞ」と僕を招き入れた。不慣れな僕は、お姉様のおしりを眺めながら、恐る恐る後に従った。案内されたところは、ゆったりとした空間と広い座席。お姉様が、にっこり笑って「ごゆっくりどうぞ」と、優しい声をかけてくれた。いやああーーー照れたぜ。「あのときの夢をもう一度」と思えど、とっちゃん坊や達との旅とあらば、それも不可能というもの。

まああ、窮屈な席でも、短時間ならば我慢できる。今回もそうだった。僕、ジャイアンと、ネズミ男君、それに、いがぐりさんの三人が同席だった。こともあろうに、僕は真ん中、まいったぜ。他の6人のメンバーはどこに座ったか定かではない。機内はほぼ満席の状態。定刻になり、機体は滑走路に、ゆっくりと移動し、スピードを上げながら、地面を駆け抜けた、やがて、宙に浮き、上昇していく。この瞬間が一番、嫌いだ。ネズミ男君は平然として、「これから水平飛行になるよ」と、涼しそうな顔で僕に告げた。僕の隣の、いがぐりさんは目を閉じて腕組みしている。怖いと思っているのか?」そうでないのか判読不能。

機体は水平飛行になり、静かになった。シートベルト装着のサインが消え、「ほっ」と一安心だ。頃も良く、フライトアテンダントのお姉様たちが、通路を行き来しながら、入国に必要な書類を書いていない人たちに、書類を配っていた。僕たちは皆、そうだった。書類を受け取り、フライトの便名や、旅の目的、宿泊のホテルの名称、パスポートのナンバー等を記入した。これが以外と面倒だ。狭い座席の中で書くのも大変。あまり、下手な字で書くと、「いい加減な奴」と、入国の審査官に、にらまれそうだ。

てなわけで、一応丁寧に書いた。分からないところはお互いに見せ合い、なんとか空白を埋めた。ペンをポケットに入れていなかったので、アテンダントのお姉様から借用。こともあろうに、ネズミ男君は、そのペンを、ちゃっかり、懐にしまい込んだ。まああ、それくらいは許せるか?。

しばらくして、機内サービスで、軽食というか、サンドイッチが運ばれてきた。朝食を食べていたので、あまり欲しくなかったが、三人ともきれいに平らげた。通路の横の席に座っていた、女性客の一人が「食べませんか?」とサンドイッチを、そのま僕たちに差し入れした。一応、受け取ったものの、ジャイアン、ネズミ男君共々、お腹いっぱい。結局。いがぐりさんが、全ての後始末を。お見事。

次に、サンドイッチの横に据えてあった、こぎれいな、プラスチック製か、何かのコーヒーカップに、客の好みに応じて、お茶やらコーヒーが注がれた。もち、僕たちはコーヒーを所望。飲み終えて、あらためて、コーヒーカップを眺めると、意外と、このカップがしゃれているんだよなあーー。僕、ジャイアンは、すかさず、ネズミ男君に勧めた。「あんた、このカップも、もらっとけばあーー。現地の、かわいこちゃんに、あげたら喜ぶぜーーーー」と言うと、触手は動いたが、さすがに、それは遠慮した。ペンの一件もあるからなあーーーー。とは言え、そういう、よこしまな考えは罪と言えば罪だ、僕たちは「主」に祈った。「主よ、僕たちの、この心ない考えを許し給えーーー。アーメン」。

僕たちは、座席の前の背もたれに設置されているモニターに見入った。高度何千キロ。温度○○度。時速○○キロ。今はただ、刻々と変わるそのモニターだけが頼り。我が腕時計を、モニターの時計、はたまた、ネズミ男空の時計を見比べた。「おいらのは、電波時計だから正確だぜ」と、ネズミ男君が言う。僕、ジャイアンは笑いながら、「わてもそうだぜ」と、ネズミ男君の腕時計と見比べた。若干、違っている。この差は何だ?。時計の値段の差か?。お互いに、腹の中では、「我が方が勝ち」と思った。まあ、それはそれで良いわけだ。

かくして、機体は高度を落としつつ、着陸態勢に入った。僕たちは緊張しながら、機体の車輪が滑走路に触れるのを待った。「ガタゴトガタゴと、音がして、見事車輪が地面に触れた。逆噴射がかかり、機体はスピードを落としながら滑走路を滑った。成功だ。僕たちの心は異国の地を踏んだという、妙な安堵感と期待感にあふれていた。あいにく、外は曇り空。



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