ここ数日青空が広がった。青空を眺めるのは気持が良い。綿菓子みたいな白い雲が風で流れていく。こんなにおだやかな雲もあるというのに、時として、魔王が怒りを表したような、どす黒い雲が空を覆う。子分の雷を伴っている事があるから厄介だ。ゴロゴロし出したら、そく、家の中へ駆け込む。君にはつきあっておられないぜ。自然はいつ反旗を翻すかわからないからなあーー。

ここ数日の晴天を利用して、僕は雑草刈りに励んだ。雨で草たちが勢いよく立っている。たらふくまんまで、水を吸収した草たちが、勝ち誇ったように僕の前に立ちふさがる。僕は、新たに新調した草刈りの歯を丁寧に機械に取り付け、「今に見ていろ。一網打尽にしてやるぞ」と、気負いながら襲いかかった。

切れるわ、切れるわ。ばっさばっさとなぎ倒していく。まさに快感ってやつだ。なにせ、葛が草に巻き付き、フェンスによじ登っている。こんな場合は、根元を切ると、おのずと枯れてしまう。思うようにはさせないぜ。

ただ、しかし、バット、体力には自信があった僕も、暑さには閉口する。作業用ズボンに、長袖のシャツ。頭には石ころよけのヘルメット。養蜂業者さんがつけているようなネットが付属している。まさに宇宙服を着ているような感じだ。そりゃあーー、暑いのなんのって。汗がどくどく流れる。「ねずみ男君(友人)を手伝わせれば良かったかなあーー」と思ったが、手当が間に合わず。まだ刈るところは一杯ある。次回に持ち越しだ。

午前中、一回。その後、一時間ばかり昼寝をして、午後にまた一回。体は疲れるが、爽快な気分だ。おっと、蛇の抜け殻を見つけた。かなり大きいようだ。周りにいないだろうな?と、僕は機械を左右に大きく振り回し、雑草を倒しながら、恐る恐る前へ進む。蛇も機械音に驚き、退散した模様で、抜け殻以外に現物に遭遇することなし。やれやれだ。

僕は何故、草を刈るのか?。お百姓さんではない。米も野菜も作っていない。まず、第一は美観の問題だろう。きれいになることに喜ばない人はいないからだ。もう一つの理由。昔、偉い坊さんから、「何事も、ただひたすらやることの中には、仏法が宿っている」と言われた事があった。炎天下のなか、ただひたすら、草をむしる坊さんがいた。「何も、こんな炎天下で草をむしることもないでしょうに?」と、人が問うと、「何はともあれ、ただ懸命に草むしりをするだけです」。坊さんはそう応えた。

なるほど。そうなんだ。禅問答だぜ。単細胞の僕は、「ただひたすら」という言葉が好きになり、ただひたすら雑草刈りに専念したわけだ。どっと疲れがきたが、作業のあと、ぐっつと飲み干す水のおいしいことよ。今日の我が行いには仏法があったのか否や?。いけない。いけない。そう考えることが、さもしい根性だ。ただひたすらなせば、それでよいわけだ。

今日は、雑草刈りで暮れた一日だった。





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