僕、ジャイアンは考えた。どうやって僕の服が脱がされ、ぽっちゃりの女性に移ったのか?。しかも後ろ手にきつくロープが縛られたまま。謎だ。
そこで、名探偵コナン、シャーロックホームズ、金田一京助、明智小五郎という異名を持たない、迷探偵、ジャイアンが謎解きに挑戦だ。まず整理してみよう。そもそも、僕ジャイアンが指さしで指名されたのには理由がある。
第1、脱がされやすい、よれよれの上着をきていたこと。
第2、体型が中肉中背で、ぽっちゃり女性とお似合いだったこと。
第3、騙されやすそうな、腑抜けたおっさんだったこと。
第4、一見、優しそうで?、文句を言いそうにないこと。
ここまで書くと、もう十分だろう。ターゲットとして合格したのだ。紳士、のび太君や、ねずみ男君や、スネ夫君、一休さんの場合は、そうはいかないだろう。なんとなれば、ぴしゃっと着こなした、のび太君では服が脱がされない。ねずみ男君は、くすぐったりやで、ちょっと体に触れると、身もだえしてしまう。これじゃあ、脱がせるほうが大変だ。スネ夫君、彼はひょうひょうとしす過ぎて、何があっても反応なし。まして、サンダルとタオル姿では舞台に上がれまい。一休さんは、長靴姿。おまけに、探検家風の服をまとい、腰には探検道具を巻きつけている由。その姿では、演技より、彼の格好に拍手喝采で、演技が色あせてしまう。まあ、そんな理由で僕に白羽の矢が立ったのだろう。
前置きはこのくらいで、迷探偵の推理を続けよう。ぽっちゃり女性は後ろ手にロープで縛られたまま僕の後ろに立った。二人を包みながら、黒い袋が足元から上部へ上がっていく。問題はその時だ。袋が首近くまで来た時、ぽっちゃり女性が僕の服を脱がせた。どうやって?。推理はこうだ。
第1、僕は直立不動。ぽっちゃり女性は後ろ手のまま僕の袖を下から、そっと引っ張り脱がせた。うんん、これは可能性が薄い。
第2、ぽっちゃり女性は軟体人間だ。訓練で肩が前後に動く。肩を回し、手を前に持ってきた。その時、結ばれていたロープもほどいた。口か何かで?。あとはそっと、両袖を引っ張れば、服は脱げる。若干、可能性あり。
第3、第2との折衷案だが、ぽっちゃり女性は軟体人間であることに変わりはない。第2案との違いは、肩を回すのではなくて、後ろ手を足にくぐらせ手を前に持ってきた。その後は一緒。これが最良の技だろう。
手がほどけりゃ、あとは簡単だ。脱がした服をまとい、自分で両手を器用に縛り、足をくぐらせ後ろ手にする。はーーーい完成。服を脱がされているとき、気が付かない僕もあんぽんたんだ。直立不動。目を白黒、ぱちぱちさせながら正面を見ていた。恥ずかしいなあーーと思いながら。
訓練すれば、短時間で、これくらいはできるだろう。要はターゲット選びの問題だろう。ホテルに戻るまで、なんだか酒に酔った気分だった。心は「迎え酒でいっぱいやるでー」と叫んでいた。
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