続、旅日記(20)
 


とっちゃん坊や達、5人衆の旅もいよいよ大詰めだ。あっという間に過ぎた三日間だ。さあ、午後の行程がスタートした。12人のメンバー達は疲れも知らず、案内人さんの後ろをてくてくとついて行く。

なんでも、VIPしか入れない迎賓館や、路面電車への体験乗車。巨大な蒸気機関車の見学、お茶の専門店、ファッションショー見物などが計画されていた。

迎賓館は超大物政治家達が会議をしたり、会食を摂った場所らしい。豪華なテーブルや椅子が当時のまま配置されていた。僕たちは「ほーーつ、なるほどねー」と、変なあいずちを送りながら、管理人の後ろからついて行った。カメラ撮影は部分的にオッケー。のび太君はすかさず、シャッターを押した。

2階に、いかにも古そうな骨董品が展示してあった。のび太君が「ここにある物は売り物ですか?」と管理人へ質問すると、「売ってもよい良い」という。どうも、のび太君が気に入った物があったらしい。何かと言えば、直径10数センチはあろうかと思われる、蓋付きの丸い硯石だ。古い時代の物のようだ。値段を聞いてびっくり。10数万円すると言う。何とか値切り倒して、10万円以下で決着。おっと、金がない。苦しいときの一休さん頼みだ。一休さんは快く、のび太君へ金子を貸してくれた。

これを横で見ていた僕、ジャイアン。常日頃、「しずかちゃん」の寵愛を得んと競い合っているライバル、のび太君が硯石を買ったとなれば、ジャイアンも食指が動かない訳はない。硯石の横に、これまた古い墨が置いてあった。15×27、高さ3センチの直方体の墨だ。硯石と墨が合体すれば、超、まろやかな墨液が生まれるに違いない。

値段を聞いてびっくり。これも又、値切り倒して、ある数字で決着。おっと金がない。一休さんも今、手元に金子は残っていない。ホテルに帰ったら返すということで、案内人さんから金子を借用する始末。割れないように、幾重にも包み、包装してくれた。

他の者達は、あきれ顔で、この様子を眺めていた。果たして、僕たちは懸命な買い物をしたのだろうか?。二人とも、「だぼはぜ」みたいに、性懲りも無く、すぐ食らいつく性分だからなあーー。日本に帰り、二人して「何でも鑑定団」に出してみようやと、話し合った事よ。まさか、僕の方が価値があったりして・・・。「うっしっしいーーーー」だぜ。さもなくば、二人とも期待及ばず、二束三文の値が告げられたりして。あり得ないことではない。だが、しかし、BUT、宝くじと同じで、夢を買ったと思えば後悔もないだろう。

のび太君は少し心配になったようだ。買った証拠として、包装してある商品を「カメラに収めてくれ」と言う。僕は「はい、はい」と素直に従った。今にして思うと、「高い買い物をしたなあーーー」と、若干、後悔の念もある。

迎賓館の後は、戦争が残した遺物とも言える大きな蒸気機関車を見学した。これも、そう易々と見れる代物ではない。あまりの巨大さに驚いた。これが走っていたなんて、信じがたい。何はともあれ、戦争の遺物は悲惨さだけが脳裏に焼き付く。気を取り直して、路面電車への体験乗車。大概、路面電車には、停車場があり、そこで乗客は待つのだが、こちらでは停車場らしき所がない。電車が来たら、車に用心しながら、道路を歩いて電車に乗り降りする。変わっているぜ。造りは日本にある路面電車と大差は無い。吊り皮にぶら下がるか、座席に腰掛けるかだ。運賃が安いとあって、多くの現地人が利用している。車と電車が交錯しながら進んでいく様は圧巻だ。幾ばくかの恐怖が心をもたげた。

路面電車の体験乗車が終わり、結構疲れた。皆、そんな気分のようだ。そこを見計らってか、案内人が「茶の専門店で、喫茶をしましょう」と、持ちかけた。これも想定内の計らいか?。皆、喉が渇いている。誰にも異論は無い。
バスに揺られて茶専門店へ直行した。





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