お茶やの店舗に着いた。2階の喫茶ルームに案内された。楕円形の長テーブルに陣取る。ここで、看板娘がいろんな銘柄の茶の中から好きな茶葉を入れてくれる。と、その時、ここの社長が部屋に入ってきた。なんと、日本人だ。この場所で開業し数十年になるという。子供の頃、我々、とっちゃん坊や達がいる県に住んでいたそうだ。偶然とは言え、縁とは不思議なもの。
ひとしきり、社長の話があった。「もう、80才を過ぎているが、こんなに元気です。たばこも酒もばくばく、いただいています。それもこれも、お茶のおかげです。20数年前、糖尿病やら、血圧、血液どろどろ等で入院しましたが、お茶が私を健康にしてくれました」と言う。それを証明したいのか?、目の前で、たばこを吹かし始めた。さすが社長だぜ。思わず購買意欲が沸いてくるではないか。「看板娘が、お茶を入れますので、ゆっくり堪能していってください」と言って、部屋を出て行った。
僕たちは配られたパンフレットの説明を聞きながら、飲みたいお茶を選んだ。どれもこれも健康に良く、病気予防になるという説明ばかり。日頃、出がらしの茶しか飲んでいないから、とっちゃん坊や達には聞き慣れない銘柄ばかりた。
看板娘は、アグネスチャン?、名前は忘れたが、「渡る世間は鬼ばかり」に登場する、あの女優さんを彷彿とするような顔立ちをしていた。かわいいが、ちょっと、気が強い・・・。丹頂鶴の様な細い手(写真で見るとそうでもないか)を器用に操り、茶を入れていく。見事だ。あれこれと数種類のお茶を飲んだが、味の違いには全く鈍感だった。
試飲が終わりかけた頃、おもむろに社長が部屋へ入ってきた。いよいよ購買タイムか?。ロハで茶を飲み、誰も買わないでは、社長の面子もたたないだろう。結局、社長が強く勧める、「一葉茶」というのを買うことにした。「これで私は元気になりました」と、再三言うので、ぞの恩恵にあずかろうという単純な発想からだ。「それなら、おいどん達も」と、な・な・なんと、財布の紐が固かった、ねずみ男君や一休さんまで買い求める結果に。ただ、のび太君と、スネ夫君は「茶は家に、わんさとありまっせ」と、言わんばかりに食指を動かさなかった。これも正解かも知れない。他のメンバー達も、めいめい好きな茶葉を買っていたようだ。案内人さんも「ノルマを果たしました。」と、「ほっ」と胸をなで下ろしたことだろう。
お茶所を後にして、さあーーー、ファッションショーの見学だ。「世界中から、きれいどころが集まっているぜ」と、スネ夫君が言う。当初から、スネ夫君はこのファッションショーを見たがっていた。この見物が大きな誤算になるとは、まだその時は誰も気付かじ。なんとなれば、海辺の近くに設営された会場は、行ってみると、人・人の山だ。我々は道路を挟んで、遠くからしか見学できない。背伸びをして、やっとモデルさんの顔が、ぼんやり見えるだけだ。これじゃーー、あばかんでー。
ここで、のび太君登場。「おいら、車に望遠レンズを置いているから、取ってくる」と言って、案内人さんと車の所まで出かけた。彼らが、戻ってくるまで、僕、ジャイアンは案内人さんの旗持ちを頼まれた。迷子になってはいけないので、少し高めに旗をかかげた。モデルを見るより、僕の方を、周りの人たちが興味深げに眺めていた。恥ずかしいこと限りなし。
のび太君が戻ってきた。すかさず望遠レンズを装着し、モデルさん達を撮り始めた。だが、いかんせん、遠すぎることと、黒山の人だかりが、撮影を妨害。「うんん、駄目か?やんなつちゃうぜ」と、撮影を途中で断念。ねずみ男君は、のび太君に負けまいと、カメラをいじっていたが、シャッターの音は聞こえず。それが懸命だぜえーーー。結局は不満が募るファッションショーの見学だった。
今日の行程も、オプションとなっている夕食を残すのみとなった。オプションに参加したのは、恋人もどき若い二人と、老夫婦を除いた8人。一人3千円のコースだ。我々は複雑な面持ちで、案内人ご調達のレストランへ足を運んだ。
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