とっちゃん坊や5人衆の旅(1)
2013年2月1日 日常僕たち、とっちゃん坊や5人衆の旅が始まった。前夜は眠れないこと常のごとし。早朝4時に起床。ねずみ男君がモーニングコールを要求していたので、テルを入れると、既に起きていた。5時半までに我が家へ来ることになっていた。外はまだ真っ暗だ。タクシーをチャーターしていたので、ドラえもん君と夜泣き爺さんを拾い4人で駅へ向かう。のび太君は直接、駅へ向かい合流するとのこと。
ねずみ男君の出で立ちは、真っ赤なジャンパーに白っぽいパンツをはいていた。真っ赤なジャンパーは、かって「よく似合うぜ」と褒めちぎっていたので、その言葉にあやかったのだろう。迷子になることがないから安心だ。また、900円で購入したという、ぴかぴかの皮靴を履いていた。これが、とんだ災難になるとは、その時、誰も思わじ。機内持ち込みOKのコロコロケースを引きずりながら、にんまり顔だ。
ドラえもん君は大きなお腹を隠せる黒のジャンパーと黒のズボンで身を包んでいた。リュックを背負い、手には小さめのバッグを所有。足の甲が高いので、靴ではなく、サンダルを履いて行きたかったそうだ。歩くのが楽らしい。それでは、周りの人たちが怪訝な顔をし、誰も寄りつかないだろう。また、サンダルで飛行機に乗った人を見たことがない。搭乗禁止になるやもしれぬ。やむなく、スニーカーにしたようだ。足の痛みに耐えられないなら、「得意の魔法で、お腹のガラクタの中からサンダルを適宜、出せばいいじゃん」と言うと、「むすっ」として顔を背けた。「怒らない、怒らない」とねずみ男君がなだめる。
夜泣き爺さんは、まあ、四人の中では一番まともな出で立ちだ。野球好きのせいか、頭にはキャップをかぶり、背中には、ドラえもん君と同じようなリュックを背負っていた。確かにリュックは便利だ。なんと言っても両手が使える。長老と言うこともあり、優しそうな目でほくそ笑んでいた。まあ、この目が曲者といえば、曲者か?。時折、厳しい言葉が飛んでくる。あまたの経験を積んだ長老の言葉には素直に従っていたほうが無難だ。
4人目の僕、ジャイアン。都会風のわがまま坊やを彷彿とさせる、センスの良い出で立ち。アクセサリーを施してある、ふわふわの白いジャンパーで身を包んだ。頭には笑うセールスマン、目黒福蔵もどきハットをかぶっている。若い女性達が、「ハッ」と振り向いている気配を感じるが、視線を注ぐと、なんと山姥風おばあちゃん達の、にこにこ顔が見えまーーーーす。やんなちゃうぜ。
最後に、旅のリーダー、のび太君だ。電車の発車5分前に合流。電話で切符の購入を依頼されていたので、無事に乗車できた。皮のジャンパーを見事に着こなし、センスは抜群。薄くなったとはいえ、頭にはまだ毛がある。あとの4人は、「はげちゃびん」揃い。堂々とでっかい頭をさらしているのは、ドラえもん君だけだ。どうも、帽子が嫌いらしい。旅行用の大きなトランクを引きずっていた。もち、首には高級なカメラをぶら下げている。いつもの事だ。前回の旅では、このカメラの取り替え用レンズをコンクリートの床に落とし悔やんでいたが、保険で賄えたので、ほっとしたようだ。そのせいか、カメラの扱いには極めて慎重。分かるぜ-ー。
そうそう、臆面もなく首からカメラをぶら下げているのは、のび太君のみならず、ねずみ男君、そして僕、ジャイアンも同様だ。三人そろって、「三馬鹿大将」のごとし。カメラの腕は、やはり、価格の順か?。のび太君を筆頭に、ねずみ男君、ジャイアンになる。ドラえもん君と夜泣き爺さんは、カメラにはたいした興味がないらしく、デジカメで、気になったところだけを、こそこそとシャッターを切っていたようだ。その方が賢明か。のび太君は数百枚、ねずみ男君も負けじ劣らず、百枚以上を撮影。ジャイアンは百枚以下だ。
「さあ行くでえーーー」と気負いながら、始発の特急電車に乗り込んだ。早朝だったので、席はガラガラ。前回の旅では、電車のトラブルがあり、飛行機に乗り遅れるかもしれないと気をもんだが、今回は順調な滑り出しとなった。とっちゃん坊や達の心は既に、まだ見ぬ地への期待と不安が交錯しているようだった。
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