とっちゃん坊や5人衆の旅(4)  
とっちゃん坊や5人衆の旅(4)  
台北へ降り立った。この地へは昔、来たことがあったが、ほとんど記憶に残っていない。皆も同じようだ。ただ、ねずみ男君だけが、いかにも懐かしそうに、あちこちに目を走らせていた。ネズミだからなあーーー、それもうなずける。

僕たちは、まず乗り換えのゲートを探さねばならない。搭乗する前に、案内カウンターで一応、説明を聞いていたが、なにせ広いのでよく分からない。とりあえず人の流れに沿って行けば、それらしき所へつくだろうと、安易な気持ちでテクテク歩いていた。人が三三五五と散っていく。ここで降りる人もいるからだ。人の波がまばらになった。「ありゃー、間違ったかなあー?」と、のび太君がいう。僕たちは地図をのぞき込んだ。「えーーーと、ここはどこ?、あなたは誰?」。これじゃー拉致があかない。

近くに人がいる窓口があった。ジャイアンが、そこで尋ねると、なんと行き過ぎていた。戻ろうとしたとき、一人の青年が、「入り口はあちらの方ですよ」と言って、僕たちを先導してくれた。人の親切はありがたいものだ。

迷路みたいな通路を通り、ようやく免税店の入り口付近に到着。その前に、ここで、荷物等の再審査だ。「またかあーーー」と思ったが、背に腹は変えられぬ。なれた手つきで、検査に応じた。ねずみ男君も、今回は靴の、おとがめはなく、すんなりパスだ。彼は、にんまりと笑った。なんと、僕、ジャイアンに、「ジーパンのベルトをとりなさい」との指摘が。まあ、これは仕方がない。ベルトをとっても、ジーパンが下に落ちることもない。ベルトの再装着が面倒なだけだ。素直に従って、パスだ。

搭乗までには、まだ2時間近くあった。集合場所を確認し合い、「とりあえず、免税店を散策しよう」ということになった。特に買いたい物はなし。ただ、ねずみ男君は、大連で購入し、毎日飲用している「一葉茶」が欲しかったようだ。各店舗内を見て回ったが、該当する物なし。

なんでも、この茶を飲んでいるせいか、血糖値が大幅に改善されたと言う。病院の先生も驚き、「ずいぶん、摂生されていますね」と言ったらしい。一葉茶を飲んでいるとは先生には言わなかったようだ。このあたりが、ちゃっかりしているぜ。まあ、彼の秘密兵器ってところか?。

実は僕、ジャイアンも人の言葉に左右されやすく、最近、飲み出した。同じく、大連で購入していたが、ほったらかしだった。彼の言葉を聞き、右ならえだ。いやああああーーー、苦いのなんのって。眉をしかめて飲まなくちゃならない。「紅茶で割って飲めば、飲みやすいよ」とねずみ男君が言う。「ふーーーん、そうかなあーー?」と、僕ジャイアンは否定的な見解。ネットで調べたが、確かに効能はありそうだ。

歩き疲れたので、集合場所で待機することにした。他のメンバーも既に集まっていた。すっかり忘れていたが、「5人の乙女達はいるのかしら?」と、周りを見渡せど、それらしき影なし。「大丈夫、目的地へ着けば、ちゃんといるよ」と、のび太君が言う。夜泣き爺さんは首を横に振り、「娑婆はそんなに甘くはない」と言いたげだ。僕たちは椅子に腰掛け、人の往来に目をやるだけ。

ドラえもん君が携帯で日本の知人へ電話をかけた。ビジネスで、気がかりな事があったのだろう。「大丈夫だった」と、大きな顔をほころばせながら言った。その後、携帯を持参していなかった僕へ、携帯をかけるなら、「貸したるでえーーー」と言う。僕、ジャイアンは、「そう?」と言って喜んだが、なんと、「1分、150円」と言い、グローブみたいな手を差し出した。これにはまいったぜ。友人のよしみで「ロハ」かと思ったが、この辺は、よく言えば堅実。悪く言えば「ケチ」だ。秒読みの中で僕、ジャイアンは家へ電話した。「なんにもなーし」。一安心だ。電話が終わるやいなや、「いつでも貸したるでーーー。1分、150円だ」と、ドラえもん君が追い打ちをかけた。僕、ジャイアンは苦笑しながら、「ありがてえー」と言ったことよ。

30分前、いよいよ搭乗の扉が開いた。目的地、タイランドまで4時間近くのフライトとなる。僕たちは、遅れをとるまいと、前列に並んだ。席番号は最初の搭乗より、やや改善されたと言うか?、28番の番号が記されていた。横一列、A・B・D・E・Fは前と同様。ドラえもん君への配慮から、再び席替えを敢行。退屈なフライトが始まった。







コメント

nophoto
あさみ
2013年2月4日12:40

なんか、みなさんの様子が想像できます

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