とっちゃん坊や5人衆の旅(10)  
とっちゃん坊や5人衆の旅(10)  
おっと、アユタヤを発ち前に、書き忘れていたことがあった。ホテルをチェックアウトしようと廊下に出ると、ベッドメーキングのおばさんが二人いた。早朝よりご苦労様だ。僕たちは、「コップン・カップ(ありがとう)とか、サワディー・カップ(こんにちは)とか、慣れないタイ語で挨拶した。

ジャイアンが、「チップ イズ イン ザ ルーム」と、通じるか通じないか分からない英語でしゃべると、「にこっ」と笑って、意味を理解したようだ。のび太君が「そんなこと言わなくていいんだよ」と僕を制したが、「チップを出したのはこの僕だ。何が悪い」と、僕も開き直りだ。彼女たちは、記念撮影に応じてくれた。ちゃっかりしたものよ。のび太君も、にんまり顔をカメラに向けた。最後に手を振って「バイ バイ」。旅行中は生のタイ人と会話することはあまりない。袖振りあうも多少の縁で話してみると楽しいものだ。

そうそう、アユタヤで最後の昼食をとったっけ。ビュッフェへ連れて行かれ、再びバイキングに応じた。ホテルの朝食でたべた内容と、ほとんど同じ。まああ、好きな物を自分で選べるから幸いだ。当然、ここでも、ビールの大瓶、5本を所望。旨いぜ。大皿を手に持ち、幾たびと料理を物色しながら徘徊すること常のごとし。同行者の5人は、離れた場所fで食していた。「田舎者、とっちゃん坊や達と同類」とみられるのが恥ずかしかったのだろう。分かるぜーーー、その気持ち。

てなわけで、バスに揺られてバンコクへ向かった次第である。象の背で、「ほんわか、ほんわか」と揺られた気分がまだ体に残存していた。とっちゃん坊や達は皆、お眠りタイムだ。時折、目を開き状況を確認。おやおや、添乗の現地係員の、お父様も、こっくり、こっくりだ。この炎天下。疲れるのは、我々と一緒だ。後は、若いドライバーのお兄さんの腕次第である。

高速を矢のように車は駆け抜け、やがて、高層ビルが建ち並ぶ地域にやってきた。「いやああああーー、都会だぜ。」とはドラえもん君の弁。僕らは一様に同意の首を縦に振った。目を覚ました添乗員さんが、「バンコク市内に入りました。これからホテルまで行きます」と告げた。同行者の5人組と、我々、とっちゃん坊や達のホテルは違うようだ。最初に5人組をホテルの前で下ろした。立派なホテルだ。シャンデリアが輝いているぜ。果たして我々の所はいかに?。彼らは、手を振りながらホテルの中へ消えた。小休憩の後、再び合流することになる。

渋滞する車の波を縫って、ようやく我々もホテルへ到着。うんんん、玄関の面持ちは彼らのホテルに負けていそう。中に入ると、だだっ広いホールの真ん中に、真っ赤な衣装で彩りされた何かの像が、四角い櫓の中に安置されていた。これが歓迎のシンボルなんだと思った。華僑の成功者が建立したホテルのように思えた。結構大きなホテルだ。旅行者達が、わんさと出入りしている。西洋人も結構いた。「where did you come from ?」と聞きたかったが、その勇気なし。

僕たちはホールの椅子に座り、部屋の割り当てを待っていた。「おやっつ、」と目をこらすと、ちょっと離れた椅子に、日本人の団体客が腰掛けた。バッグから、なにやら取り出している模様。よく見ると、な、な、なんと、焼酎のボトルではないか。2本ばかり大事そうに取り出し、仲間に手渡していた。とっちゃん坊や達は、指をくわえ、「ポカーーーーン」と、その様子を眺めているだけ。「日本の免税店で買っておくべきだったか」と改めて反省。

部屋の割り当てが決まった。15階の部屋だ。三人部屋は1503号室。二人部屋は1509号室だった。3人部屋の僕たちは早々に、マイベッドの位置を決めることになった。昨晩は、ネズミ男君が、「お子ちゃまベッド」で我慢したが、「今宵は、おいら、いやだぜ」と、反旗を翻す。よく見ると、昨晩のベッドより、貧弱なものが設置されていた。まさにシングルの超小型版だ。クッションの高さも通常の半分程度しかない。

ネズミ男君が反旗を翻すのもよく分かる。僕たちは、「じゃんけん」で雌雄を決することにした。「最初はグー、じゃんけんぽん」。ジャイアンはグー、後の二人はパー。僕、ジャイアンが敗戦の涙をのんだ。泣きたいぜ-----。ネズミ男君が小躍りして喜んだ。くやしいぜ。「明日はそうはいかないぜ。」と僕、ジャイアンは心に誓う。のび太君は、なにもなかったがごとく、冷静沈着。さすがリーダーだ。

荷物の整理をし、これからの予定遂行のため1階ホールに降りた。





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