秋に向かって走ろう。
じわじわと秋の気配を感じる。良い傾向だ。盆が終わり、僕はたまった机上の仕事を連日、こなしている。やっと、めどが立った。やれやれだ。夜のネオン街が僕を呼んでいるが、とんとご無沙汰だ。

とは言いつつも、一週間前に、ネズミ男君、風来坊のタカ君と三人で小料理屋「梓」の暖簾をくぐったっけ。相変わらず「ひろこママ」さんは元気だった。「あら、いらっしゃい」と、にこにこ顔で迎えてくれたこと常のごとし。

僕は言ってやった。「実はねえー、僕も、ネズミ男君も、お盆には三途の川を渡りかけたが、途中で引きかえしたよ。ひろこさんの呼び戻す声が聞こえたんでね」と言うと、「あつはっははー。嬉しいわ」と笑いながらビールを注いでくれた。「ご苦労様」とサービスの一品でもあるかな?と思ったが、それはなかった。その後は、タカ君女房の兄たちが土産に持ってきてくれた紹興酒(10年物)を持ち込んでいたので、その栓を抜いて皆で味わった。いやああ、これは旨かった。「やはり年数だぜ」とはネズミ男君の弁。

2時間ばかりいて、酔い冷ましのため、ソフィアローレン風ママ(同郷の画家)がいるスナックへ足を運び、カラオケを興じることにした。なんでも、最近はゾロ目賞景品の品質アップ、さらには増量したとのことで、僕らの気勢が上がったことは言うまでもない。なかでも、ネズミ男君の張り切り様は人一倍だ。昔、何度か、ゾロ目賞の美酒を飲んだので、その味を覚えているのだろう。だが、しかし、ばっと、いつも柳の下にドジョウはいない。

こう書くと結論は自ずと知れている。ゾロ目賞を獲得したのは、な、な、なんとこの僕、ジャイアンである。点数は66点。曲目は、春でもないのに、「春なのに」。柏原芳恵さんの歌。僕はボタンを一つ、空に向かって投げる振りをした。と、その時、腕時計の前に装着していたブレスレットが左腕から抜け出て、カウンターの中に飛び込んでしまった。皆、驚いた。じぇじぇじぇーである。

ところで、採点は?。実は65点のところで点数が止まりそうだったが、最後にぽんと1点上がった。「いえーーーい」と僕は大はしゃぎ。しかるに、ママの言葉が憎らしい。「あんた、かわいそうだと思って、機械が同情したのよ」だって。うんんん、不愉快だーー。だが、さもありなん。まあ、それはどうでもよいが、Tシャツをゲット。タカ君の兄たちへの土産が出来た。

その後は皆、泣かず飛ばずだ。ネズミ男君は点数がいいところまで行くんだが、1点オーバーしたり届かなかったり。次第に勢いも失せて、口数も湿りがち。かたや、タカ君は最高得点は出すものの、ゾロ目にはいたらず。そんな案配で、気を良くしたのは、この僕、ジャイアンだけ。

たまにはそんな日があっていいだろう。さあ、秋に向かって走ろう。













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