いやああ、昨夜の雨風と雷はすごかった。久しぶりに怖さで興奮した。僕は部屋の電気を真っ暗にし、パソコンのスイッチを切って、窓の外の稲光を見ていた。「ピカッ」と光る度に指を折りながら音が鳴るまで数えた。こうすると雷雲までの距離がだいたい計算できる。「ピカッ・ドン」なら確実に雷が落ちたことになる。我が頭の上に落ちはしまいかと、僕は真っ暗な書斎の椅子に腰掛け、わなわなと震えていた。日頃はジャイアンという、あだなで風を切って歩いているが、実は根っからの弱虫で臆病者である。

こんな日は寝るに限ると、早めにベッドインした。耳元にはラジオのイヤホンを置き、時折スイッチを入れて娑婆の状況に聞き耳をたてた。ラジオに雑音が入ると、「稲光のせいだ」と則、スイッチオフに。まさか、僕の耳に雷が落ちることもなかろうが、念には念を入れ用心した次第である。

いつのまにか僕は船をこいでいたようだ。朝の4時頃だったか、にわかにサイレンが2回聞こえた。僕は飛び起きた。恐らく雨で川の水位が境界線を超えたので、川近くの人たちは警戒しなさいという合図だったのだろう。僕は則、闇の中に目をこらした。何事もない。雨も小降りで遠雷が聞こえるだけ。我が家の方面はどうも安全なようだ。やれやれだ。

もう一寝しようかと思ったが、そんな気にはなれなかった。階下に降りて窓のカーテンや廊下のカーテンを開けた。外はまだ真っ暗。もうすっかり雨も止み、風も収まっていた。冷蔵庫からペットボトルの蓋をあけ、ぐっと、のどに流し込んだ。旨い。

さああーーて、こんなに朝早くから何をしようかと思案した。そうそう、昨夜パソコンで見ていたホラー映画の続きを見ようと決定。雷鳴のため見るのを中断していたのだ。誰にも邪魔されずに鑑賞できる。「これに勝る幸せがあろうか?」と、変にほくそ笑む僕がいた。人が、そんな僕の姿を見たら、「ホラー映画より、あんたの方が怖い」と、逃げ出すだろう。

うっすらと夜が明けてきた。ホラー映画を早朝から見ると、なんだか、しらじらしく思えた。やはりホラー映画は夜中に見るのが臨場感があって怖さも倍増だ。ただし、雷の恐怖に比べればホラー映画の恐怖なんて比較にならない。

雷の恐怖で思い出したが、先日の野球観戦の時、僕の席の前に一人の未亡人風女性が座っていた。雷を怖がっている様子だったので、席の後ろから僕は彼女の肩をポンポンと叩きながら言ったことよ。「ねえーーー、怖かったらいつでも僕の胸の中に飛び込んできていいよ」って。彼女はにこっと、ほほえんだ。それを見ていた、のび太君が、笑いながら「あんたの方がよっぽど怖いよ」と茶化す始末。まあーーいいか。この僕も自己顕示欲だけは人一倍強いようだ。

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