中継地に降り立ったとっちゃん坊や達は、まず、乗り継ぎ地点まで行くことにした。例によって再び、荷物検査と人物監査に及ぶことになる。いわゆる、この国から出国するためだ。のび太君曰く、「ここでの検査は簡単な検査だから心配ないよ」とのこと。それもそうだろう。もう、何回も同じことを繰り返している。それでも、皆、懇切丁寧に、肌に装着しているものを全部外し、幸せの門をくぐっていた。幸福の鳥が心の中で鳴いていた。

門をくぐり2階へあがると、そこは免税売店だった。長い通路をはさみ、両側にいかにも高級そうな貴金属や、バックや、諸々の品物がオンパレードしていた。
とっちゃん坊や達は、そんな商品に一瞥を投げるだけで、素通りだ。

いつぞや山の神に買った商品が、あまり気に入られなかったので、「もうごめん」と言うことなのだろう。僕、ジャイアンとて例外ではない。のび太君が「ホテルでのむ紹興酒を買っていこうや」と言う。これには皆賛成だ。10年物の紹興酒が2千円そこそこだった。安いのか高いのか知らないが、これは旨かった。ホテルで2本、空にした次第である。

実は搭乗時間まで、ここで2時間近く待機しなければならなかった。我々の格安の旅はいつもそうだ。恋人なら30分で待つことを断念するのだが、飛行機に乗ろうと思えば、待つことは仕方が無い。我々は長い通路の端から端まで歩いた。途中、喫茶店らしきものあり。立ち寄ってビールをのどに流し込んだことは言うまでもない。

搭乗時間まで30分近くになっていた。ここで、ネズミ男君が、尿意を催したのか?、「記念すべき一投を捧げていこうや」と言う。皆、同意し一斉にWCへ。なんと、ジャイアンと一休さんは「大」だった。トイレの中からお互いに声を掛けた、「はやく出たら待っててよ」と。ジャイアンが一番、遅かった。「あんた、遅いよ」とネズミ男君が僕をたしなめた。「いやーーごめん」と僕は謝った。緊張がお腹を緩めてくれなかったから時間がかかったのだ。

さあ、いよいよ搭乗だ。例によって、4人が横一列に座った。席はかなり空いていた。中継地までは満席だったが、目的地まで行く人たちは少ないようだ。平日だからかなあ?ーーー。ジャイアンは通路側。隣にのび太君、その隣がネズミ男君、更に隣が一休さんである。

正直、飛行機に何時間も乗るのは疲れる。前の背もたれに装着してあるディスプレーで、映画を見ながら時間をつぶすか、おねんねするしか能が無い。とんち者の一休さん。さすがである。彼はいつも読書をするか、端末機器をいじって遊んでいる。ちなみに、ジャイアントネズミ男君は、携帯もいまだに「ガラケー」である。僕たちの口癖。「おいらたちには文明の危機は最小限でいい。なぜって、おいら達は時代遅れだからだ」。そう自負いしている。ネズミ男君が歌う「時代遅れ」の歌が脳裏に浮かんだ。

てなわけで、僕、ジャイアンは映画を見て、過ごすことにした。




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