ほろ酔い気分で、レストランを後にした。相変わらず小雨が降っている。とりあえずホテルへ急いだ。部屋へ戻り、着替えをして、のび太君と一休さんが待つ隣の部屋へ赴いた。すでに、ドリアンを買った初老のメンバーが来ていた。

のび太君達の部屋へ入ると、なんだか妙に臭い。甘酸っぱく、果物が腐ったような臭いがする。恐らく、切り裂かれたドリアンの香りと、赤く完熟したブドウのせいだろう。気持が悪くて、果物をつまみ、口に運ぶ気がしなかった。こんな時はスナック菓子が一番だ。気の利いた一休さんが免税売店で、それらしき物を買っていたので、それをついばんだ。

おっと、臭いは果物だけのせいでもないか?。他にも妙な臭いが立ちこめている。ベッドの布団も乱れていた。いみじくもネズミ男君が聞いた。「のび太ちゃんよ、あんたたちベッドメーキングはしてもらったの?」と。返ってきた答えは「ノー」だ。なにしろ、一休さんは変わり者。留守の間に部屋へ入られるのを嫌ったわけだ。清潔好きな紳士、のび太君も一休さんに従ったようだ。この状態が3泊を続いたから驚きだ。まあ、酔った勢いで、部屋の臭いも、そのうちに気にならなくなったが。慣れとは恐ろしいものだ。

我々は持ちこんでいた焼酎と紹興酒でのどを潤した。7回の部屋は僕たちだけのようで、異様に静かだった。人の声も聞こえない。静かに夜が更けていく。僕たちは、なにやらかにやらと大いにだべり、大いに笑い、大いに飲んだ。ボトルがすっかり空になった。もう、外へ繰り出す元気とてない。ネズミ男君と僕、ジャイアンは「これ以上は無理どっせ」と言い、部屋へ戻ることにした。二人とも大の字でベッドに横たわった。その後のことは目覚めるまで覚えていない。

朝早く目が覚めた。もう。ここに2泊したのだ。今日寝ると明日は帰国。なんと、時のたつのが早いのだろう。妙に感心しながら洗面を済ませた。時刻は午前5時半。ネズミ男君は鼻息を鳴らしながら、寝苦しそうに横を向いて寝ていた。僕は、極力、静かに振る舞ったが、彼は起きるやいなや「あんた、朝早くから、ごそごそやってて、眠れんかったぜ」と、おしかりの言葉を発した。

僕、ジャイアンも負けじと言ってやった。「おいらは、あんたのいびきで目が早く覚めたばい」って。彼はしかめっ面しながら、「そりゃあーーおいだって一緒たい」と。まああ、こんな会話をしても、友であれば何のしこりもなく、時がたてばお笑いの種となる。これぞ、真の友か?。利害関係もないしなあーー。

すっかり夜が明けて、例によって朝食タイムとなった。隣の部屋をノックすると、あにはからんや、のび太君も一休さんも、すかっとした顔で、僕たちを出迎えてくれた。「ええつ、なんでえーー?、またあーー?」と、僕もネズミ男君も一瞬、驚いた。

よくよく、話しを聞いてみると、僕たちが部屋へ戻った後、二人して8階にあるマッサージルームへ行ったそうな。「ゴキゴキ、ガクガク、バリバリ」と、ストレッチ風マッサージで、酔いも一瞬に覚め、顔は引きつり青ざめたそうな。朝食を食べながら笑った事よ。

その点、品行方正な我々、ネズミ男君とジャイアンはベッドに横たわり、美酒で酔いしれた体を休めていたのであります。







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