梅の実と日本舞踊。
今日は何にもない日曜日。昨日、雨だったので、たまっていたゴミを裏庭の焼却場で処分。戻る途中、五月の末ごろ、ちぎった梅の実に、取りこぼしがなかったかと、再確認しようと、梅の木の前で立ち止まった。

「梅ちゃん、いるのいるの?」と、枝をかき分けると、いやああ、あるわ、あるわ。ピンポン玉くらいの梅が、葉っぱに隠れて、「早くちぎってー。でないと落下するわよ」と、恥ずかしそうに、ちょっぴり赤い顔を向けて、僕に催促する。

幸い、手元に、生ゴミを捨てたバケツを持っていた。「じゃあーーー、やるべーーー」と、僕は軍手はめた。枝をかき分け、梅たちを、もぎとった。先般、バケツ2杯分をとったので、今回は少なかろうと思っていたが、さにあらず。バケツ2杯分の梅がとれた。今年は豊作と言うべきか。

先般、ちぎったやつは、のび太君へ全部あげた。彼の家族は皆、梅酒が好きらしい。彼のフェイスブックを見たら、3個の瓶に浸かった梅酒の写真が投稿されていた。「やることが早いぜ」と、妙に感心した。

ところで、「今回の梅はどうすべっか?」。今のところ行き先は決まっていない。先般、ねずみ男君へ「梅はいらないか?」と言ったら、「いらない」というので、なんとか処理しなくてはなるまいて。

昼頃、のび太君より電話があった。何事かと思ったら、午後1時から「古典舞踊の会」が市民会館であるという。僕たちが知己の先生が踊るのだそうだ。「費用はいらないから来て」と言う。うんんん、舞踊の会といえば、日本舞踊のことだろう?。そういえば、その先生は藤間流の師範。踊りがうまいのはもちろんのことだが、酒もめっぽう強い。のび太君ともども何回か酒席で興じたことがある。

本来、日本舞踊に憧憬はない。数年前、京都で舞妓さんと芸子さんの踊りを見たのが印象に残っているだけ。今回は、本格的に大舞台で舞う姿を観賞するわけだ。7つの出し物があり、先生は初っぱなに踊る。いやああ、鬘をかぶり、高価な和服に身をまとい、顔を真っ白、唇を真っ赤に染めて、色彩豊かなセンスを器用に操りながら踊る姿は圧巻だ。

僕たちの席は舞台の一番前列の真ん中だ。いわゆるVIP席か?。のび太君の手配らしい。恥ずかしいこと限りなしだ。まああ、しかたがない。僕以外にも、のび太君の知り合いが数名いた。

緞帳が上がり、謡曲に合わせて踊りが始まった。しなやかな身のこなし。さすがである。一番前列だから先生の顔も姿もはっきりと見える。僕は先生の目を追った。踊りの途中、僕と目が合うかもしれないと思ったからだ。僕が「にこーっつ」と笑うと、先生も踊りながら「にこーっ」とする。僕はそれを期待した。

だが、現実は違った。踊りながら、僕の方に顔が向いたと思ったら、すぐ左右に顔を背ける。そりゃあーーそうだろう。客とにらめっこしていたら、踊りが崩れてしまう。本来、目線というのは一番大事な踊りの要素だからだ。踊っている最中は踊りに専念する。それがプロというものだ。

先生は一人で20分、踊りきった。割れんばかりの拍手だ。うんんん、日本舞踊も観賞してみると、なかなか良いものだ。動きの中に何かを表現している。それを、それぞれが感じ取ればいい。

五つ目の出し物が始まる前に、のび太君と僕は席を立った。やむなき用事ができたのだ。とりあえず、先生の舞台裏に赴き、感動した旨を告げて、市民会館を後にした。

今日は梅と踊りで暮れた一日だった。時季外れだが、実がなった梅の木の写真を載せておこう。








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