盆が過ぎて、瞬く間に九月になった。暑さは幾分か遠のいたが、天気は良くない。最近、お天道様を拝んでいないような気がする。人間って勝手な生き物だ。晴れが続けば雨が恋しくなり、雨ばかりだとお天道様が恋しくなる。自然は人間の思うようにはさせてくれないようだ。

そんな中、僕は机上の仕事をしたり、野良仕事に励んでいる。時折、ネズミ男君や、のび太君と夜な夜な、一献傾けている。昨夜がそうだった。昼間、のび太君よりテルあり。「そろそろ、旅の計画をたてようや」との催促。「じゃああーー、ネズミ男君を誘って、今宵一杯やるか」で話がまとまった。

ちょうど、もらい物の紹興酒があったので、小料理屋「梓」へ持ち込み、味を堪能することに。僕、ジャイアンとネズミ男君が午後六時に「梓」の門をくぐった。のび太君から、すこし遅れるとのテルあり。「僕が来るまで紹興酒の栓を開けないで待ってて」と、釘を刺された。僕とネズミ男君の二人で飲んでしまわないかと心配したのだろう。結構、上等の紹興酒だと僕が宣伝していたからなあーーー。

三人そろって、あっというまに、瓶は底をついた。ママさんも、「わたしもいただこうかしら」と言って、グラスで2杯、「おいしい」と言って飲み干した。その後は焼酎を飲みながら、旅の話で花を咲かせた。今年はとりあえず国内の秘境の地へ、二泊三日で行くことに決定。出立日は10月になるか?。

ちゃんぽんしたため、僕たちはすっかり酩酊。のび太君は明日、会議があるとのことで、先に退散した。ジャイアンとネズミ男君はいつものパターンで二次会へと足を運んだ。彼は、カラオケで、ぞろ目が出そうな店へと僕を誘う。今宵は、お天道様のような、にっこりマークが輝く例の店へ行きたいと言う。和服の女性が二人と、以前書いたが、相撲の強い女性が一人。三人がいる店である。

和服の女性はママさんと日本舞踊師範の女性。ママさんは細面のすらりとした美人。表情には知性がみなぎっている。いつもよくしてもらっている。かたや、もう一人の和服の女性は、小柄で小顔の美しい独身女性だ。ネズミ男君へ「あんたの嫁さんにどうか?」と薦めると、彼は顔を赤らめながら、「うんんん、気が強そうだぜ」と、曖昧な返事。

彼女は踊りは言うまでもないが、それ以上に歌がうまい。いつもその美声に聞き惚れてしまう。ねずみ男君が点数で彼女に負けまいと意気込むが、いまだ、勝ったためしがない。僕も負けじと声を張り上げるが、いかんせん、ネズミ男君に「もっと優しく。優しく」と、いさめられ涙をのんでいる。

「僕はどうして点数がでないんかなあーーー」と、問うと。ネズミ男君が言うではないか。「あんた下手なんよ」と。これには 僕、ジャイアンもショックだ。「いまに見ておれ、この僕だって」と、内心では闘魂に火がつき、めらめらと燃えている。おっと、大人げない。そんなことに興奮することはないか。愛嬌愛嬌だ。

そうそう、もう一人の相撲の強い女性は、歌の実力は僕、ジャイアントと「どっこい、どっこい」だ。仲間がいて一安心。彼女はママさんがいるときは借りてきた猫のようにおとなしい。ただ、じっと、ぽかーん、として我々の成り行きを見守っている。ママの姿が見えないときは「ぎんぎらぎん」と目を光らせて、今にも獲物を襲わんばかりの鼻息だ。まあ、こういう姿勢は僕、ジャイアンに好意を持っているか?、いないか?のどちらかだろう。僕の独断によれば前者だろう。

とりもなおさず、今宵はネズミ男君がぞろ目賞を2個獲得して、意気揚々と帰省についた次第である。






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