のび太君を先頭に集合場所へ赴いた。女性の添乗員らしき人がいた。のび太君が我々4名が到着した旨を告げると、新幹線の指定席乗車券が渡された。「さあ、いよいよか」と、心が騒いた。

周りを見回すと、同じツアー客達だろう。じっちゃん、ばっちゃん達が数十名、群れをなしてたたずんでいた。夫婦連れあり、友達連れあり、判別不明の客あり、その構成メンバーは、ばらばらだ。我々、とっちゃん坊や達が一番、若いようだ。

スネオ君が草履を履き、アフロヘアになっていたので、じっちゃん、ばっちゃん達は「危うきに近寄らず」で、ほとんどが目を合わせることもなく、そっぽを向いていた。まあ、我々の出で立ちが奇抜だから、それは仕方がない。

新幹線に乗るには、またしても45分ばかり時間があった。「コーヒーでも飲むか」と、階段を降り、喫茶室みたいな所へ入った。スネオ君と、のび太君は腹がすいていたとみえ、なにやら、ほんわかケーキみたいな物をコーヒーと一緒に注文していた。ネズミ男君と、僕、ジャイアンは、「ふーーーーん、あとで腹をこわすぜ」と、いぶかしながら、そのケーキに一瞥を投げ、コーヒーだけを注文。いやあーーーーー、このコーヒーのまずかったこと。カップが大きく、量は多いが、ただ熱いだけで、「おいしい、もう一杯」という感覚にはとうていなれない。やはり、ケーキも一緒がよかったか?。後の祭りだ。ネズミ男君も同感のようだ。半分は飲み残してしまった。

気を取り直して、少々、早かったが二階の新幹線乗り場に赴いた。久しぶりに乗る新幹線だ。そうそう、まだ旅の行き先も言っていなかった。最初から行き先がわかっていると、「なーーーんだ」と、興ざめするかもしれないから、あえて伏せていた。とっちゃん坊や達は、昨今の索漠とした日常から逃れ、一時でもよいから、スリルとドキドキ感を満喫したいと、秘境を求めての旅に出たわけである。

そう、9月末近くだったか、のび太君が一枚のパンフレットを持ってきた。「秘境へ行く国内の旅があるぜ。しかも格安の二泊三日」。過去、何度も格安旅行を経験してきたが、いつも、痛い目にあってきた。トイレットペーパーがなく、トイレに閉じ込められたし、水洗の水が勢いよく飛び出し、穴(けつ)のつぼみを痛めてしまったし、水漏れはするし、寝布団がじめじめしているし、最悪だった。「今度もそうかな?」と思ったが、「日本国内だから大丈夫だろう。まあ、試してみるか」と、全員一致で決定だ。

さてさて、行き先は「四国一周」の旅だ。二泊三日で巡るから、相当に強行スケジュールだ。「スリルとドキドキが味わえるかしら?」と、疑心暗鬼で旅に及んだ次第である。

新幹線に乗った。到着駅は岡山だ。岡山かあーー。行ったことがないぜ。倉敷やきびだんごが有名かな。到着までほぼ2時間半の乗車だ。外の風景はトンネルばかりで全くおもしろくない。寝るか、だべるしかない。ちょっくら笑わせようと、僕ジャイアンがネズミ男君へ問題を出した。「ネズちゃんよ、豚はどこで寝るでしょうか?」。ネズ君の応え。「そりゃあーー豚小屋に決まっているじゃん」。残念。ぶーーーーー。「トンネルですたい」と、ジャイアンが応えると、あまりのばかばかしさに、ネズミ男君はあきれ顔。

まあ、そんな塩梅で、新幹線は岡山駅を目指した。座席はシートを回転させ四人がけ。スネオ君はアフロヘアのまま、座席に座っていた。

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