時、至れリ。咲きました。咲きました。月下美人の花が。朝、いつものごとく、蕾に目をやると、なんと、虹色のごとき輝きを呈して、蕾が大きく膨らんでいた。うんんん、今晩が山だ。直感的にそう感じた。

午前、午後と、数時間おきに足を運び、蕾の状況を観察。その度に蕾の膨らみが大きくなっていくのが分かった。6時に夕飯を済ませ、机上の仕事を片付け、「そろそろかな?」と、午後9時ちょうど、廊下の明かりをつけ、見に行った。「わおーーーつ」。咲いていました。咲いていました。いや、咲いているでは表現がふさわしくない。「ツルが羽を広げたように、純白の花びらが大きく開き、輝いていた」と、言うべきか。さらに言えば、「純白のドレスを着た天女様がにっこりほほえみ、その後ろから幾重もの後光が射しています」と言うべきか。まぶしい。僕の汚れた心が浄化されていくような。

四個の蕾の内、開いていたのは三個。残りの一個は、まだ蕾のまま。日光を十分浴びれない場所にいたので、開花が少し遅れるのだろう。たぶん、明日の夜かもしれない。

いずれにせよ、月下美人の花びらは一夜にしてしぼんでしまう。なんとはかない命だろう。翌朝は、鎌首をもたげたように開いていた花びらが、「だらりーーん」と、しおれて、うなだれる。美人薄命とはよく言ったものよ。

誰かが、この月下美人の花を、「天ぷらにして食ったらうまい」とか言っていたが、不謹慎、甚だしい。たとえ、しおれた花びらでも、僕にとってはいつまでもいとおしい存在なのだ。

世界中に花はあまたとあれど、僕にとっては月下美人の花が最高だ。友人からもらった葉っぱ(うんんん、これは茎か?)一枚から、育ててきた。というより、鉢に射し込んでいたら、ひとりでに、成長してきた。もう、10年以上になるか。「来年のことを言うと鬼が笑う」とか言うが、来年はもっと、たくさん花を咲かせて欲しいものだ。そう願っている。






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